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アジア向け高級「高麗人参」産地、米ウィスコンシン州を貿易戦争が直撃、生産者1400人→70人に

2025年10月26日(日)17時16分

問題の一つは、カナダ産の安価な高麗人参がたくさんあることだという。中国税関総署のデータによると、中国は24年にカナダ産高麗人参を約3000トン輸入しており、平均価格が1キログラム当たり約15ドルだった。一方、米国産は213トンで、平均価格は約69ドル。

ウィスコンシン州産の高麗人参は主にカナダ・トロント南部のオンタリオ州の砂質土壌で育つカナダ産と品質が異なる。シュウ高麗人参農園のウィル・シュウ社長は「緯度が2度違う上に地質も味と風味に影響する」と説明した。

<好景気の時代>

ウィスコンシン州の高麗人参輸出は1990年代から2000年代にかけて、中国の経済成長が大きく伸びるとともに急拡大した。中国は01年に世界貿易機関(WTO)に加盟し輸入関税を緩和した。

しかし高麗人参の貿易取引の始まりは何世紀も前にさかのぼる。

1700年代初頭、アジア産の野生高麗人参が乱獲のため供給不足となった際に、フランス人宣教師たちがケベックや北米東部で先住民族に知られていた類似の高麗人参種を発見した。

独立したばかりの米国から中国へ向けてニューヨークを出航した最初の商船は1784年、毛皮と30トンの高麗人参を積んでいた。

ウィル・シュウ氏の父、ポール・シュウ氏は1974年に農園と園芸事業を始めた。ウィル氏は現在、ウィスコンシン州ワウサウを拠点として事業を経営し、中国語と英語で電話対応しウェブサイトも両言語で利用できる。

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