最新記事
インド経済

「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っておくべきインドビジネスの可能性と落とし穴

2025年8月18日(月)07時30分
楢橋広基(本誌記者)

インド市場で重要なことは?

Q:一筋縄でいかないインド市場で成功する方法はあるのか。

A:インド市場でのビジネスは決して容易ではないが、良きビジネスパートナーと組めば成功する確率も高まると言われている。パートナー選び次第で、インドビジネスの成功の行方が大きく変わるといっても過言ではない。


具体的には、パートナー候補の既存取引先情報、財務体質、レピュテーションなどを含めた、慎重なデューデリジェンス(精査)は欠かせない。パートナー企業のトップの人間性や目指しているビジネスの方向性など、他国でビジネスを展開する時以上に多角的に調査する必要があると感じている。

また、日本企業の中にはパートナー先に製造、販売、保守等の一連のビジネスを丸投げしてしまうケースもあるが、インドでは特に注意が必要だ。ガバナンスをしっかり働かせないと、パートナー側の勝手な解釈で物事が進められたりするケースもある。そうしたことが原因で合弁を解消した日本企業のケースも実在する。上記のようなトラブルを防ぐには、パートナーを信頼し過ぎず、日本人駐在員などを通じて日本側がきちんとガバナンスをコントロールしグリップする体制を整えることが大切だ。

Q:インド市場は中国市場に代替するのか。

A:インド市場は中国市場と単純に比較できる市場ではない。中国では起こらないようなトラブルやリスクが発生することもあるし、逆もまたしかりだ。しかし、パートナー選びや市場リサーチなどを他国への進出時以上にしっかり行い、インドに対するコミットメントを高め、インド側の信頼を高めていけばビジネスで成功する確率はぐっと高まっていくだろう。

インド市場は容易な市場ではない分、成功した時のリターンもその分大きくなるだろう。

ニューズウィーク日本版 2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月7日号(9月30日発売)は「2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡」特集。投手復帰のシーズンも地区Vでプレーオフへ。アメリカが見た二刀流の復活劇

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRBの二大責務、双方に圧力=ジェファーソン副議長

ビジネス

一段の利下げに慎重、物価に上振れリスク=米ダラス連

ワールド

米政権、シカゴ向け資金21億ドル保留 政府閉鎖で民

ワールド

インド中銀総裁、経済の安定運営に自信 米関税や財政
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中