「テスラ離れ」が加速中、リピーター率急落...「マスク氏の政治色」がブランド価値に影響か
テスラの製品ラインナップは登場から歳月がたち、GMや韓国の現代自動車、ドイツのBMWなどが売り出している多様なEVとの競争が激化している。テスラが2020年以降に発売した唯一の新型車である三角形の外観をした「サイバートラック」は、マスク氏が期待していた年間数十万台の販売を下回って失敗に終わった。
テスラのバイブハブ・タネジャ最高財務責任者(CFO)は4月の決算説明会で、販売不振について「当社のブランドと従業員に対する破壊行為や、不当な敵意による負の影響」を受けたと指摘したほか、「モデルY」の改良型を生産するために工場を再編した際に「数週間の生産停止期間」があったとも言及。マスク氏は「マクロ経済の問題がなければ、需要の減少は見込まれない」と主張した。
S&Pのデータによると、テスラの販売は世界的に減少傾向にあり、2025年1―5月に米国で前年同期より8%減った。マスク氏の政治活動への反発が特に強い欧州では25年上半期に33%減った。
CFRAリサーチでテスラの動向を追っているアナリストのギャレット・ネルソン氏はマスク氏の政治活動強化について、テスラが中国系EVメーカーや伝統的な自動車メーカーとの競争が激化する中での「非常に悪いタイミング」だったと指摘。テスラの最大の懸念として市場シェアの喪失と、「ブランドが受けた打撃の回復策」を挙げた。
リピーター率の急落
顧客のリピーター率は自動車業界で注目されている指標で、S&Pのリビー氏は競合他社から新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持する方が「はるかにコストがかかる」と指摘する。