備蓄米放出は「米価高騰」の根本的解決にならない...政府と国民に求められる「解決策」とは?
RICE CRISIS OF 2025

社会全体の物価が上がり、国民生活が苦しくなるなか、相対的にコメの価格が安くなったことで、多くの人がコメを欲するようになった。コロナ危機が収束したことからインバウンド需要も復活。一連の事情が重なり、需要が生産量を上回り、これが価格高騰を招いた。
もっともコメの市場規模が大きければ、多少、需要の変動があったとしても、ここまでの価格上昇にはならなかっただろう。だが、日本のコメ市場は私たちが考えているよりもはるかに小さくなっており、価格変動が起こりやすい環境になっている。
コメの価格は二極化する
日本国内のコメ消費量は昭和の時代と比較すると約半分になっており、私たちは本当にコメを食べなくなった。市場が小さい状態で生産量が増えると一気に値崩れするため、農家は生産量を絞らざるを得ない。市場が小さく、生産量が制限された状態で需給のバランスが崩れると価格は急激に変動する。金融工学の世界ではこうした状況を「ボラティリティー(変動率)が高い」と表現するが、縮小市場ではよく見られる現象である。
つまり価格高騰の背景にあるのは市場の大幅な縮小と、それに伴うボラティリティーの上昇であり、市場が縮小した最大の原因は、私たち日本人がコメを食べなくなったからにほかならない。この根本原因から目をそらしてコメの問題を議論することはナンセンスである。





