人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜いた──ただしそれは異形のAI

China's Next-Level AI Could Overtake US: New Report

2025年5月20日(火)20時57分
ディディ・キルステン・タトロウ(本誌米国版・国際問題担当)

中国型AGI開発の鍵となっているのが、神経科学とAI技術の融合だ。報告書では、武漢の取り組みは全国展開への足がかりとされており、アメリカが対抗すべき「技術社会」のあり方を改めて問うものだと述べている。

AI開発の主導権を握ることは、世界の勢力図を塗り替えるほどの影響力を持つ。「AIの安全性や軍事利用のリスクに注目するだけでなく、AIの可能性を迅速かつ果断に追求する国に競り負けるという現実も直視すべきだ」と、ハナスらは警告する。



武漢で進められているこの共同プロジェクトは、中国科学院自動化研究所(CASIA)、北京大学・PKU武漢人工知能研究院、そして通信大手ファーウェイによって主導されている。

報告書によれば、この取り組みは武漢の産業・商業分野にAIを浸透させ、日常生活のあらゆる領域にAIの影響を広げる「社会シミュレーター」の導入を目指している。

また、他の研究機関もこの連携体制に加わっており、「解釈可能で、信頼性が高く、進化可能なマルチモーダルAIインフラストラクチャー」を、開放的かつ複雑な環境向けに構築しようとしている(マルチモーダルAIとは、テキスト、画像、音声、動画、センサー情報など、異なる種類のデータ[=モダリティ]を統合的に処理・理解できるAIのことだ)。すなわち、「次世代型AI基盤」の整備を目指していると、長江日報は伝えている。

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