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ドル急変に追われる日本企業...組織改変やヘッジ多様化

2025年4月23日(水)08時53分

ヘッジニーズの高まり

為替変動リスクをヘッジするための先物やオプションの商品への関心も高まってきているとの声もある。

「ドルの先高観が支配していた局面とは企業の為替予約行動が変わってきている。まさに転換点といえる」と、貿易実務に詳しい市場関係者は話す。


 

コロナ禍以降、ここ数年の米国の利上げ局面では、ドル高/円安の基調が続いてきた。ドルを調達する必要のある輸入企業は少しでも安くドルを調達しようと、きめ細かな為替ヘッジを余儀なくされてきた一方、ドル売り/円買いが中心の輸出企業は、資金繰りさえつくなら、慌ててヘッジに動く必要はなかった。

ところが、米国の政策の不透明感が強まってドル安/円高が進んだことで輸出企業にとってもヘッジのニーズが急速に高まっている。1人目の邦銀関係者によると、機動的にヘッジ商品の決済ができるよう、これまで社長や最高財務責任者(CFO)レベルにしか認められていなかった複雑なヘッジ商品の決済を、財務部長や執行役員で対応できるよう権限の変更を検討する動きも出ている。

実際、一定の価格に到達すると権利が消失するノックアウトオプションやレバレッジを効かせた取引など、通常の為替予約とは異なる商品を検討する企業も出てきたと、別の邦銀の為替セールス担当者は明らかにする。

円高継続か、円安への巻き戻しか、先行きが見通しにくい中で企業は今後のさらなる状況悪化を見越して対応を急ぐ一方、先行して動いて方向感が違っていたという悪手も打てないジレンマも抱える。

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