G7、中東情勢が最重要議題に 緊張緩和求める共同声明採択も

中東情勢が緊迫の度合いを増す中で、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が6月16日にカナダ西部カナナスキスで開幕する。写真はバンフで14日撮影(2025年 ロイター/Amber Bracken)
[バンフ(カナダ・アルバータ州) 15日 ロイター] - 中東情勢が緊迫の度合いを増す中で、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が16日にカナダ西部カナナスキスで開幕する。主催国カナダのカーニー首相は、安全保障問題とともに重要鉱物のサプライチェーン(供給網)構築や雇用創出などを優先的なテーマに掲げているものの、やはり議題の中心は中東、ウクライナといった地政学情勢になりそうだ。
イスラエルがイランの核施設を攻撃したことに伴う両国の報復の応酬は15日も続き、双方で多数の死者が出ている。
こうした中でG7関係者の1人は、サミットでイランに姿勢を和らげるよう求める共同声明が採択される方針だと明らかにした。
ドイツのメルツ首相は記者団に、自身がサミットで達成を目指す目標にはイランに核兵器開発・保有をさせず、イスラエルの自衛権を確保し、対立激化を避けて外交的解決の余地を生み出すことが含まれると述べた。
メルツ氏は「この問題はG7サミットの最重要議題になる」と言い切った。
今回のサミットは、G7諸国の結束を優先するため包括的な首脳宣言や首脳声明(コミュニケ)の取りまとめは見送られる公算が大きい。
あるカナダ政府高官も、主催国カナダとしてG7が一致して行動できるようにすることに力を注ぎたいと説明した。
カナダがトルドー前政権時代の2018年に主催したG7サミットでは、トランプ米大統領がトルドー氏の姿勢に不満を表明して途中退席し、首脳宣言を米代表団に承認しないよう指示する事態が起きた。
現在も米国とカナダは鉄鋼・アルミニウム関税問題などで溝が生まれている。
専門家からは、G7の成功はトランプ氏が各国の協調にひびを入れるような行動に出ないことにかかっているとの声も聞かれる。