最新記事
ビジネス

なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分から15分にまで短縮できたのか

2025年3月27日(木)17時00分
川原洋一(ANAビジネスソリューション講師)
空港の手荷物カウンターの行列

写真はイメージです Jokue-photography-shutterstcok

<かつてANAの手荷物カウンターでは、時期によって長い行列が出来てしまっていた。問題を洗い出し、改善できたカギは実は「トヨタのアレ」だった>

*この記事は、トヨタが生み出した生産方式「カイゼン」を非製造業でも導入できるものに変え、大きな成果を上げたANAの秘密を解き明かす『ANAのカイゼン』(川原洋一著、かんき出版)から、一部を再編集したものです(全3回のうち、第3回)。

※抜粋再編集の第1回:ANAがトヨタの「カイゼン」を導入...他社が失敗するなか、非製造業なのに成果を出せた理由
※抜粋再編集の第2回:職場の「ムダ」は2つの「ム」から生まれる...業務の生産性を上げるには何が必要?

◇ ◇ ◇

カイゼン活動によって生産性が大幅にアップ

ANAグループオペレーション部門は、2016年からカイゼンを導入しました。

・部署内の年間業務時間を「1万4600時間削減」
・CAの年間業務時間を「2万1000時間削減」
・成田空港の航空機のエンジン保存にかかるコストを半年間で「500万円削減」
・お客様からのクレームに対する一次対応の所要時間を「61%削減」

これらは、すべてカイゼンによって得られた成果です。

また、数値には表れにくい成果として、「ANAで仕事ができることを誇りに思えるようになった」「仕事が楽しくなった」という声が、働いている仲間から数多く挙がっています。90%以上の人が「カイゼン活動の結果、生産性が向上した」と回答した部署もあります。

これらの成果は、カイゼン活動によってひとつひとつ問題を解決してきたことで生まれたものです。そんな問題解決のひとつの事例をご紹介しましょう。

手荷物カウンターの待機列を解消する

常にたくさんの人で賑わっている空港では、お客様をお待たせしないことは航空会社のミッションでもあります。しかしゴールデンウィークや年末年始、シルバーウィークなどの大型連休の時期になると空港は非常に混雑するため、カウンターでお客様をお待たせしてしまうことがしばしばありました。

伊丹空港にあるANAの手荷物カウンターでは、時期によっては最大50分もお客様をお待たせしてしまう事象が発生していました。多客期の特定の時間帯には、お客様の行列は何十メートルにもなっていたほどです。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中マドリード協議2日目へ、TikTok巡り「合意

ビジネス

英米、原子力協力協定に署名へ トランプ氏訪英にあわ

ビジネス

中国、2025年の自動車販売目標3230万台 業界

ワールド

トランプ氏、首都ワシントンに国家非常事態宣言と表明
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中