最新記事
ビジネス

職場の「ムダ」は2つの「ム」から生まれる...業務の生産性を上げるには何が必要?

2025年3月26日(水)17時20分
川原洋一(ANAビジネスソリューション講師)
業務の生産性

Wasana Kunpol-shutterstock

<非製造業でありながらトヨタの「カイゼン」を導入し、業務の効率化に成功したANA。カイゼン活動の一環としてANAが行った徹底的な「ムダ」の排除とは?>

*この記事は、トヨタが生み出した生産方式「カイゼン」を非製造業でも導入できるものに変え、大きな成果を上げたANAの秘密を解き明かす『ANAのカイゼン』(川原洋一著、かんき出版)から、一部を再編集したものです(全3回のうち、第2回)。

※抜粋再編集の第1回:ANAがトヨタの「カイゼン」を導入...他社が失敗するなか、非製造業なのに成果を出せた理由
※抜粋再編集の第3回:なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分から15分にまで短縮できたのか

◇ ◇ ◇

ムダはなぜ生まれてしまうのか?

あらゆる仕事、あらゆる作業でムダは発生します。

カイゼンでは、ムダは「ムリ」と「ムラ」から生じると考えられています。

忙しいときに生じやすいのが「ムリ」です。「ムリ」とは負荷が能力を超えることを指します。ムリが発生すると、「安全」に悪影響があります。

年末年始やお盆などの人の移動が増える時期、空港は非常に混雑します。空港の手荷物カウンターにはひっきりなしにお客様が訪れ、長い行列になってしまうことも珍しくありません。

スタッフは少しでもお客様をお待たせしないように、急いで手荷物の受け取り作業をします。このようなときは、焦って手荷物につけるタグを落としてしまうなどのミスをする確率が上がってしまいます。

落としてしまったタグを拾う作業は「動作のムダ」。

つまり、「ムリ」をして作業を急ぐことによってムダが生じやすくなるのです。

多くの職場は、時期によって作業量に波があります。これが「ムラ」です。

「ムラ」とは仕事にバラツキがあることを指します。ムラが発生すると「品質」に悪影響があります。

ムラをなくすためには、仕事量の可視化が重要です。日報などを使って、いつ、どんな仕事をしたか、その仕事にどれくらいの時間がかかったかなどを記録しておけば、それらがデータベースになり、「去年の今頃は人手が足りていなかったから、隣の部署からヘルプに来てもらおう」という見通しが立てられます。

また、人手が余ったときにとりかかってもらう作業をあらかじめピックアップしておけば、ムラが生じたとしても、ムダを最小限に留めることができます。

「ムダ」とは付加価値を生まないすべてのものを指します。ムダが発生すると「生産性」に悪影響があります。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国向け銅輸出加速へ 関税前に駆け込み=ゴールドマ

ビジネス

アングル:トランプ政権「投資誘致」の実態、バイデン

ワールド

リトアニアとフィンランド、対人地雷生産へ ウクライ

ビジネス

テマセク、運用資産が過去最高 米国リスクは峠越えた
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワールドの大統領人形が遂に「作り直し」に、比較写真にSNS爆笑
  • 4
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中