最新記事
トランプ関税

トランプ関税「ころころ変わる」...不確実性にウォール街は悲鳴

2025年3月10日(月)13時51分

外交関係にも影

トランプ氏は2月1日にカナダとメキシコに対する新たな輸入関税と中国への追加関税に関する大統領令に署名したものの、その後一部を撤回して改めて提示した挙げ句、再び猶予を決めた。

このような政策の不透明性が投資家の株式ポジション巻き戻しを招いている。


 

アネックス・ウエルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「関税を発動したり中止したりするのは、単純に実施するよりも始末が悪いのではないか。不確実性が解消されず、先延ばしになっただけだ」と指摘した。

トリプルDトレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏によると、トランプ氏の通商政策は米国の外交関係に幅広い悪影響を及ぼす可能性を懸念する市場参加者も少なくない。

中国は5日に米国の関税に対抗するための追加刺激策を発表。欧州各国首脳は自前の防衛力整備の財源確保の再検討に乗り出し、ドイツの次期政権は東西統一以来最大規模の財政政策見直しを行う公算が大きい。

カナダのトルドー首相は6日、同国は予見可能な将来において米国と貿易戦争に突入すると語り、ベッセント米財務長官はトルドー氏を「ばか者」と罵倒した。

こうした中で投資家の間では、トランプ氏が第1次政権時代に「トランプ・プット」と称されたような株式市場を支える姿勢をまた採用するのかどうか疑念が生じ始めている。

セテラ・インベストメント・マネジメントのジーン・ゴールドマン最高投資責任者は「株式市場にとってトランプ氏による『バンプ(一過性のつまずき)』が『スランプ(本格的な不振)』に転じている」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22

ビジネス

ECB、量的緩和再開は「まだ遠い」=シュナーベル専

ビジネス

スズキ、4ー9月期純利益11%減 半導体問題で通期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中