最新記事
日本経済

株安・円高に歯止めかからず...アメリカの景気後退に現実味

2024年8月5日(月)15時50分
都内で株価ボードの下を歩く男性

8月5日、週明けの東京市場は、米景気後退懸念の高まりで、円高・株安・金利低下が一段と進んでいる。写真は株価ボードの下を歩く男性。都内で2022年6月撮影(2024 ロイター/Issei Kato)

5日の東京市場は午後も株安と円高に歯止めがかからず、日経平均は一時3300円まで下げ幅を広げ、ドル/円は142円台に下落した。米国経済への市場の見方がソフトランディング(軟着陸)期待から一転しており、マネーの流れも逆回転。安全資産の国債が買われて長期金利が低下する一方、日本株は年初からの上げが帳消しになった。

日経平均は3万3000円台を割り込み、東証株価指数(TOPIX)は取引時間中の年初来安値を更新した。先週末に発表された米雇用統計が市場予想を下回る内容だったことで市場心理がさらに悪化。2日に歴代2位の下げ幅を記録していた日経平均は5日も寄り付きから急落し、午前に一時2500円超安、午後は3300円超まで下げ幅を広げた。


トヨタ自動車10%安、東京エレクトロン14%安、ソフトバンクグループ14%安など、主力銘柄が軒並み売られている。

外為市場でドルが143円を一時下回ったことや、時間外取引での米株先物3指数が下げ幅を拡大したことなどが売り手掛かりとなっている。ナスダック先物は3%超安。日経平均先物では一時サーキットブレーカーが発動した時間帯もあった。

市場では「日本企業のほとんどが想定為替レートを140─145円で設定しており、為替による業績のかさ上げ効果がほぼなくなった。株にとっては相当マイナス」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれる。

為替市場では、米金利の低下を背景にドル売りが優勢だ。積み上がっていた円売りポジションの解消は途上にあるため、この日も円買い戻しが進んでいる。「予想以上に悪化した米失業率がリセッション懸念を引き起こした。9月に0.5%の利下げが行われる確率は無視できないものとなってきた」(ウエストパック銀行のシニアエコノミスト、パット・ブスタマンテ氏)という。

円債市場にも金利低下が波及した。国債先物9月限は一時前営業日比2円超の大幅上昇、サーキットブレーカーを発動した。長期金利の指標となる10年債利回りは一時0.785%と急低下、約4カ月ぶりの低水準となった。

海外発のリスクオフの動きを背景とした安全資産需要が追い風になっている。

アジア時間の米10年債利回りは3.79%付近へ一段と低下、昨年1月以来約1年半ぶり水準をつけた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

タイ中銀、バーツの変動抑制へ「大規模介入」 資本流

ワールド

防衛省、川重を2カ月半指名停止 潜水艦エンジンで検

ビジネス

中国、25年の鉱工業生産を5.9%増と予想=国営テ

ワールド

ゼレンスキー氏、年内の進展に期待 トランプ氏との会
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中