最新記事
ビジネス

仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

WORK LESS, RELAX MORE

2024年5月29日(水)16時30分
アリス・ハイアム

緊急対応を迫られる医療など移行が困難な業種も

そもそも、週4勤務への移行が難しい業種もある。例えば医療だ。

カイロプラクティックなどに特化した医療機関フラウムセンターを経営するヘンリー・クリスによれば、24時間体制で患者へのサービス提供と緊急時の対応を迫られる医療機関は、そう簡単に週4勤務に移行できない。

「できればそうしたいが、現実には問題が多すぎる」と、クリスは言う。患者へのサービスを最優先しなければならない以上、スタッフの休業日を1日増やすためには就業時間の管理や人員の配置に関する新しい戦略が必要になるからだ。

いずれにせよ、年配の世代は今さら週4勤務への移行など望まないかもしれない。しかし、これからの職場を担うのはミレニアル世代や、それに続くZ世代の若い人たちだ。彼らのニーズに応えられない企業には、きっと誰も来てくれない。

生産性向上の方法を経営者にアドバイスする評論家のペニー・ゼンカーによれば、今は「給料よりもプライベートの充実を優先」する若者が増えている。そして「働く世代の志向が変わった以上、企業としても彼らの新しい価値観や期待に適応する必要がある。

勤務時間や勤務形態に柔軟性を持たせ、最新のテクノロジーを採り入れ、雇用者と労働者の価値観を擦り合わせ、個々のライフスタイルを尊重するべきだ」と語った。

そうすれば──とゼンカーは言う。

「週4勤務への移行は、より良いワークライフバランスを望む若い人材を引き付けるだろう。社会全体を見渡しても、出勤日を減らせば温室効果ガスの排出量を削減でき、みんなの幸福感が高まり、いい効果がどんどん波及していくはずだ」

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国、25年の鉱工業生産を5.9%増と予想=国営テ

ワールド

日銀幹部の出張・講演予定 田村委員が26年2月に横

ビジネス

日経平均は続伸、配当取りが支援 出遅れ物色も

ビジネス

午後3時のドルは156円前半へ上昇、上値追いは限定
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中