使用済みコピー用紙を「その場で再生」──セイコーエプソン「PaperLab」が実現した水平リサイクルの効果とは
2024年4月3日発売のPaperLab A-8100。使用済みコピー用紙を再生し、紙種に応じた製紙条件の自動最適と環境貢献効果の見える化を実現
<持続可能な社会の実現を掲げるセイコーエプソン株式会社は、乾式オフィス製紙機「PaperLab」によって環境負荷の低減だけでなく、企業や自治体との共創による紙資源循環型モデルの構築にも貢献している>
日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。
私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
環境意識の高まりとIT化の進展によってペーパーレス化が進んでいる。とはいえ、紙は依然として業務や教育現場に不可欠で、その削減には限界がある。
日本製紙連合会の発表によると、日本の一人当たりの紙・板紙の消費量は173.3キロ(2023年)で世界でもトップクラスだ。
すでに広く知られているところだが、森林伐採による生態系の破壊や水資源の大量消費、製造や焼却に伴うCO₂排出など、紙の生産・処理には多くの環境負荷が伴う。
オフィスや自治体ごとに古紙の回収やリサイクルの取り組みも進められているが、機密情報保持のためにリサイクルできず焼却せざるを得ない紙も少なくない。漏洩防止のためにコピー用紙をシュレッダーで細断すると紙片の繊維長が短くなり、段ボールなどへの再生も困難となるため大部分の紙片は焼却されてしまう。
これらの課題に独自技術で立ち向かい、まとめて解決するソリューションを提供しているのがセイコーエプソン株式会社だ。
徹底的に環境負荷を低減──PaperLabの革新性
セイコーエプソンは、プリンターやスキャナーなどの情報関連機器をはじめ、産業用ロボットやプロジェクター、電子部品などを開発・製造・販売する長野県に本社を構えるグローバル企業だ。
紙資源の循環と環境負荷低減に長年取り組んできた同社が開発した乾式オフィス製紙機「PaperLab」は、オフィスで発生する使用済みコピー用紙を、その場で新たな紙へと再生することを可能にした。
同製品は、製紙工程でほとんど水を利用しない。コピー用紙からコピー用紙に水平リサイクルするため、新たな木材資源も一切不使用。さらに、オフィス内でのリサイクルが可能なため、一般的な紙のリサイクルプロセスでの輸送の際に生じるCO₂排出も削減できる。

効果量の算定について:
・紙1tあたりのLCA(Life Cycle assessment)による比較
・早稲田大学理工学術院創造理工学部環境資源工学科 伊坪徳宏教授監修のもとセイコーエプソンが算出
・生物多様性評価はLIME3(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling3)による算出結果
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