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金銭面でも設備の面でもハードルは大きく低下! 今こそ会社員も「多拠点ライフ」を実現すべき理由

2024年4月10日(水)17時27分
flier編集部

シェアの先にある「世界平和」。背中を押してくれた希望の書

──石山さんの人生観やキャリアに影響を与えた本は何でしたか。

オランダの歴史家ルトガー・ブレグマン氏の著書『Humankind 希望の歴史』です。私は2023年になって3か月ほどの間、心をすり減らしていました。「シェア」の概念を広げようと活動するなかで、人類はみな良心を持ち、優しさの輪を広げていくことが世界平和への道だと信じてきました。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻で人々が憎しみ合う様子、国内での連続強盗などのニュースを目にするにつれ、世の中が自分の信じる世界線から逆行しているのではと悩んでいたのです。そんなときにこの本を薦めてもらって、背中を押されました。

9.11のようなテロや災害の際も、自分の利益のために何かを奪うのではなく、痛みを負ってでも誰かに手を差し伸べている場面がたくさんありました。『Humankind 希望の歴史』は、そうした事実を積み上げて、社会で共有する大切さに気づかせてくれる「希望の書」です。

──最後に、石山さんの今後のビジョンを教えてください。

誰かの多拠点ライフの「居場所になる人」を増やしたいと考えています。たとえば、家を建てるなら誰かが泊まれる部屋を設けようとか、空き家になった実家を取り壊すよりは誰かが泊まれる家にするとか。全国各地にシェアできる場所や取り組みを増やして、色々な人が安心して集える空間を開いていきたいです。

以前、フランスと中国で「食事のシェアリングサービス」を体験しました。料理を作ってふるまいたい人と食べたい人をつなぐサービスです。いまの日本では規制があって難しいものの、普段のご飯を誰かが気軽に食べにくるような風景が日常になれば、もっと優しい社会になるんじゃないかと思います。こんなふうに誰かの居場所になる人を増やす支援をしていきたいですね。


多拠点生活の実践者・石山アンジュさん

石山アンジュ(いしやま あんじゅ)

シェアハウスで育つ。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを普及するほか政府と民間の間に立ちながら社会課題の解決に取り組む。2019年から大分県の農村集落と渋谷のシェアハウスを行き来する二拠点生活を開始、以降、全国を転々とする生活を送る。政府の多拠点生活のあり方を議論する国土交通省「関係人口・ライフスタイルに関する懇談会」や地方創生の中長期戦略を議論する内閣官房「地方創生有識者懇談会」有識者委員を務め、シェアを通じて持続可能な共助地域を創る「シェアリングシティ」を全国に広げる。デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師。新しい家族の形「拡張家族」の実践と普及、若い世代のシンクタンクPublicMeetsInnovationの設立、『羽鳥慎一モーニングショー』、『真相報道 バンキシャ!』など複数の番組でコメンテーターを務めるなと幅広く活動。株式会社USEN-NEXT HOLDINGS社外取締役(就任時、東証一部 最年少女性)。著書に『シェアライフ 新しい社会の新しい生き方』(クロスメディア・パブリッシング)。趣味は大人数料理をつくること。

◇ ◇ ◇


flier編集部

本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。

通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。

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