最新記事
災害復興

真の復興支援を問う... 北陸応援割の「便乗値上げ」にまちづくりの専門家が全力で賛成するワケ

2024年3月11日(月)13時47分
木下斉(まちビジネス事業家) *PRESIDENT Onlineからの転載
「GoToトラベルの地獄」を繰り返すな…まちづくりの専門家が「北陸応援割の便乗値上げ」に大賛成する理由

兼六園(金沢)Sean Pavone- shutterstock

<東日本大震災から13年、今年元旦に被災した4県への「北陸応援割」が始まる。しかし、まちづくりの専門家・木下斉さんは「旅行商品の安売りは被災地復興につながらない」と警鐘を鳴らす>

新潟、富山、石川、福井4県への旅行商品を半額で購入できる「北陸応援割」が3月16日からスタートする。

まちづくりの専門家・木下斉さんは「政府は、宿泊施設などの『便乗値上げ』を監視すると明言したが、それは間違っている。被災地復興のためには『便乗値上げ』が必要であり、旅行商品の安売りを強いることではない」という――。

被災地の復興には「便乗値上げ」が不可欠

政府が3月16日から始める能登半島地震の被災地支援策「北陸応援割」について、今から「便乗値上げをするな」という話が大喧伝されていて、耳を疑ったところです。

この「便乗値上げ」とは、割引相当分をあらかじめ旅行代金に上乗せすることですが、むしろ被災地の観光業は、復興のためにも便乗値上げをするべきだ、と私は思っています。

プライシング(自社の製品やサービスの価格を決めること)は経営の基本であり、事業者の経営判断の核となります。

しかし政府は、「割引クーポンは配るが、観光業者は既存の値段のままに、旅行者が安く泊まれるようにしろ」と要請しているわけです。

これでは被災地の復興どころか、状況はさらに悪化するばかりです。

そもそも何をもって便乗値上げなのか、旅行商品を安売りすると何が起こるのか、今一度考えてほしいと思います。

なぜ宿泊施設がクーポン配布の際に値上げをしたがるのか。それは「目先の金欲しさ」だけではない理由があるのです。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、売上高見通し予想上回る クラウド好調で株

ビジネス

米アップル、7─9月期売上高と1株利益が予想上回る

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで154円台に下落、日米中

ワールド

米副大統領「核戦力検証は安保に重要」、トランプ氏の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中