最新記事

エネルギー

ロシア国営ガスプロム、欧州向けガス供給で「不可抗力」宣言 ノルドストリームの供給停止延長か

2022年7月19日(火)09時32分
ロシア国営ガスプロムのロゴ

ロシア国営ガスプロムが欧州の顧客に対し、「異常な」状況下にあるため、ガス供給を保証することができないと伝えた。6月17日撮影(2022年 ロイター/Anton Vaganov)

ロシア国営ガスプロムが欧州の顧客に対し、「異例の」状況下にあるためガス供給を保証することができないと伝えた。ロイターが書簡を入手した。

14日付の書簡によると、ガスプロムは6月14日以降のガス供給について遡って「不可抗力」を宣言しているという。

ガスプロムからのコメントは得られていない。

ドイツ最大のガス輸入業者であるウニパーはガスプロムからの書簡を受け取ったと表明。ガスプロムの要求は不当であり、正式に拒否したと発表した。

ドイツの電力最大手RWEも書簡を受け取ったと明かしたが、「詳細や法的見解についてはコメントできない」とした。

関係者によると、ガスプロムが不可抗力としているのは、ドイツなどへの主要供給ルートであるガスパイプライン「ノルドストリーム1」を通じた供給に関するものという。

ノルドストリーム1を通じた供給は、定期保守点検のため今月11日から完全に停止している。停止期間は10日間だが、ロシアのウクライナ侵攻で緊張状態が続く中、欧州の各国政府や市場、企業は停止期間が延長される可能性を懸念している。

ABNアムロのシニアエネルギーエコノミスト、ハンス・バン・クリーフ氏は、ガスプロムからの書簡は「ノルドストリーム1経由のガス供給が10日間のメンテナンス終了後に再開されない可能性を示唆している」と指摘。ロシアと欧州およびドイツ間の緊張が激化するかもしれないとした。

一方、オーストリアのエネルギーグループであるOMVは18日、ノルドストリーム1経由のロシア産ガス供給は停止後に予定通り再開される見込みと発表した。

ガスプロムは不可抗力の開始日としている6月14日に、ノルドストリーム1のガス供給量を40%に削減。カナダで修理中のタービンの返却が遅れていることが理由としていた。

ロシア紙によると、カナダは修繕作業を終えたタービンを7月17日に航空機でドイツに輸送した。

米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「ロシアは天然ガスを政治的、経済的な武器として利用し続けている」とし、ロシアの化石燃料に対する欧州の依存削減に向けて、バイデン政権は引き続き取り組んでいると述べた。

また「ロシアの抑圧がエネルギー市場に圧力を加え、消費者の価格を引き上げているほか、世界のエネルギー安全保障を脅かしている」と非難した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国防総省、重要鉱物の国内供給強化へ提案要請 イラ

ワールド

世界株に調整リスク、弱気相場の可能性は限定的=ゴー

ワールド

カタールがLNG輸出で「不可抗力宣言」、通常生産再

ワールド

イラン製無人機への防衛で米などが支援要請=ゼレンス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中