最新記事

仮想通貨

ビットコインなどの仮想通貨、金融市場の混乱よそに驚くべき底堅さ

2022年3月31日(木)12時30分

ビットコインの足元の時価総額は9020億ドル。ただ昨年11月に記録した1兆ドルまではなお距離がある。またビットコインは依然として仮想通貨の主流の地位を保っているものの、昨年初めに70%まで高まった時価総額におけるシェアは、現在42%に下がった。

難しい先読み

今後はどうなるのだろうか。

英国に拠点を置くデジタル資産ブローカー、グローバルブロックのアナリスト、マーカス・ソティリオウ氏は「ビットコインは短期的に堅調を保っているが、原油価格高騰によって1年後ぐらいまでにリセッション(景気後退)が起きる確率が上がっている。原油は過去6日間だけでも25%前後値上がりしており、ビットコイン強気派としては、原油高の勢いが弱まってほしいところだろう」と話した。

もっとも複数の市場内部要因はビットコインの強気シグナルになっている。例えば先物を通じたビットコインの保有コストを表す「ファンディングレート」は、年初からほとんどマイナスだったが、ここにきてわずかのプラスに転じた。つまり投資家はロングポジションに対してコストを支払う意向であることがうかがえる。調査分析プラットフォームのクリプトクアントが算出した同レートは現在0.003%。直近高値の昨年10月の0.06%よりはかなり低い。

コイングラスが算出したロング・ショート比率は今月20日の0.95から1.1と少なくともこの4週間で最も高水準になっている。

ブロックチェーンデータを提供するチェーンアナリシスによると、ビットコインの総供給量に対して保有期間が52週を超えている比率は現在60%近くと、過去25週間の54.72%を上回った。

それでもデルファイ・デジタルの調査担当バイスプレジデント、アシュワス・バラクリシュナン氏は、仮想通貨市場の持続的な方向を見極めるのは難しいと警告。「(ビットコインが)4万6000ドルの抵抗線にはね返されて反落すれば、恐らく少なくともあと1カ月前後はレンジ内の値動きにとどまることになる」と予想した。

(Medha Singh記者、Lisa Pauline Mattackal記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ株の空売り筋、過去4営業日の評価損が55億ド

ワールド

米・エジプト首脳が電話会談、ガザ停戦巡り協議

ビジネス

NY外為市場=円急騰、日本当局が介入との見方

ワールド

米英外相、ハマスにガザ停戦案合意呼びかけ 「正しい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中