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自由で楽しそうだけど...「ライター」って実際、どれくらい稼げるの?

2021年12月8日(水)19時13分
佐藤友美

書籍の仕事は、取材から執筆、出版まで、どんなに早くても3ヶ月〜半年くらいかかります。もちろんその仕事にかかりきりではなく、いろんな仕事と並行して進めていくのですが、私が知っている最もスピーディに書いている先輩ライターさんでも、1カ月に1冊ペースが限度になります。私自身も過去に限界に挑戦してみましたが、やはり年間12冊がギリギリだと感じました。となると、それなりに重版がかからないと書籍一本で食べていくのはなかなか厳しいと思います。

ちなみに日本の書籍の重版率は約1〜2割だと言われています。ただ、ライターさんによっては重版率8割とか9割という人もいますから、そういう人であれば、印税のほうが稼げるでしょう。私自身は、今回確認してみましたが、約50冊の重版率は6割くらいでした。

売れているライターには「稼ぎの柱」がある

さて、ここまで読んでいただくとわかると思いますが、ライターは、そこまでお花畑な仕事ではありません。書籍ライターの印税以外は、労働集約型モデルになるので、単価が低い仕事をしていると、働けど働けど暮らしは楽にならないということも起こります。

ただ、長年フルタイムでこの仕事を続けているライターさんたちと情報交換すると、年によって振れ幅はあるものの、コンスタントに年間売り上げ800万円を超えている方が多い印象です(念のため、これは売り上げ金額であって、経費などを引いたあとの年収ではありません)。

800万円というと、月間66万円です。ちゃんと休みをとりながら健康的に稼ぐためには、工夫が必要な金額になります。では、そういう人たちが、どういうところで年間800万円以上の売り上げをキープしているかというと、


① 広告やオウンドメディアの仕事で安定収入がある
② (出版社や媒体社ではなく)企業の仕事を受けている
③ 著名人の専属ライターをしている(書籍やブログ、メルマガなど)
④ 編集者の仕事もしている
⑤ 編集プロダクション的な仕事をしている
⑥ 原稿だけではなく、イラスト、写真、動画なども納品できる
⑦ ライターになりたい人や、ビジネスパーソンなどを相手に文章を教えている
⑧ 専門分野があり、その分野でアドバイザーやコンサルティング、講演などをしている
⑨ 年に1冊程度は数万部のヒット本に恵まれている

などの、どれか、もしくは複数に当てはまっているように思います。

私自身は、そのつどそのつど、自分の年齢やライフスタイルに合わせて、①〜⑨の要素を組み合わせながら、ライターの仕事を続けてきました。私の周りの長く働いているライターさんたちも、だいたい同じような状況ではないかと感じます。

フリーランスの良いところは、収入を上げられることだけではありません。時間を優先する働き方も選ぶことができます。フルタイムで働き、1年に1000万、2000万といった売り上げを上げるライターがいる一方で、週に2〜3日くらい働いて300万〜400万円くらいの売り上げをキープしているライターの知り合いもたくさんいます。この働き方を選んでいる人は、共働きの人に多いように思います。育児中は少しペースダウンし、子どもの手が離れてきたら、またフルタイムで働くようになったという人もいます。

いろんな働き方を選べる。これがいま、ライターが人気の理由でもあるかもしれません。

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