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日経500種平均株価が史上最高値更新 サービス業中心「スガノミクス」で一層優位か

2020年9月28日(月)18時34分

日経500種平均株価がバブル時を超え、史上最高値を更新した。都内の株価ボード前で14日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

日経500種平均株価<.N500>が28日、バブル時を超え、史上最高値を更新した。構成銘柄の入れ替えが比較的頻繁に行われるために過去との比較はしにくいものの、輸出型企業が中心の日経平均225<.N225>と比べてサービス業のウエートが大きく、「スガノミクス」の推進でさらにパフォーマンスが高まるとの見方も出ている。

頻繁な銘柄入れ替え

日経500は28日の市場で、1989年12月末につけた高値2406円47銭を上抜け、史上最高値となる2430円70銭をつけた。日経平均やTOPIX<.TOPX>が当時付けた過去最高値の約6割の水準にとどまる中、突出したパフォーマンスとなっている。

その要因は、頻繁な銘柄入れ替えにある。同指数は毎年1回定期見直しを行い、4月初旬に構成銘柄を入れ替える。過去3年間の売買高、売買代金、時価総額をランキングした結果で上位500社を入れ替える。

今年は7銘柄、19年は10銘柄を入れ替えた。一方、日経225は9月の定期入れ替えでここ2年は1─2銘柄の入れ替えとなっている。「日経500はいわば勝ち組企業のインデックス」(みずほ証券シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)と言われるゆえんだ。

連続性が乏しいこともあり、日経500は国内外の機関投資家の間でもベンチマークとしての利用はほぼない。古くは「東証ダウ」と呼ばれて70年余りの歴史がある日経平均や、50年余りの歴史を持つTOPIXの利用が根付いているため、マイナーな指数にとどまっているのが実情だ。

仏資産運用会社コムジェスト・アセットマネジメントの日本株式戦略の共同リードマネージャー、リチャード・ケイ氏は、長い日本株運用経験の中でも日経500に注目したことはなかったと明かしている。

しかし、同指数採用銘柄には自分が運用するファンドの保有銘柄とのオーバーラップが複数あると、ケイ氏は話す。「ROE(自己資本利益率)などの資本規律が高い」、「いわゆる旧来型企業ではなくイノベーティブな側面を持つ」、「海外売上高比率が高い」という3つの傾向が見受けられると分析する。

優良企業が多数

日経500の構成銘柄をみると、キーエンス<6861.T>、村田製作所<6981.T>、日本電産<6594.T>、ニトリホールディングス<9843.T>、シマノ<7309.T>といった、日経平均には採用されていない優良企業の名前が並んでいる。

リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表は、日経平均やTOPIXは新陳代謝が乏しく、すでに衰退している企業群も多数入っているため、市場の実態が適切に反映されていない一方、日経500は流動性を十分加味して入れ替えが適切に行われているため、日本の産業構造の変化をよく反映していると述べる。

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