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航空会社、徹底したコロナ対策で旅客呼び戻しへ 国際線の需要回復は3、4年後か

2020年6月18日(木)17時35分

緊急事態宣言の解除後、航空旅客に需要回復の兆しが見えつつある。写真は4日、羽田空港でフェイスシールドなどを着けて乗客を案内する全日空の従業員(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

緊急事態宣言の解除後、航空旅客に需要回復の兆しが見えつつある。航空各社は乗客の不安を和らげようと、新型コロナウイルスの感染防止対策を空港や機内で徹底する構えだ。国の需要喚起策も下支えになるとみられる国内線の需要回復は来年にも可能だが、一部で深刻化している海外での感染拡大への不安などにより、国際線は3―4年かかるとの声が聞かれる。

今後も感染リスク増の懸念

6月に数回、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)両方の国内線を仕事で利用した東京都在住の会社役員、菅慎太郎さん(42)は、客室乗務員が手袋・マスクを着けている様子などをみて「不安はなかった」と話す。

カウンターの消毒、マスクの着用や社会的距離の確保の要請――。羽田空港で勤務する地上職員は、コロナ感染拡大前と今では業務に「かなりの差を感じている」と、戸惑いを隠せない。それでも各社のこうした対策は少なからず顧客の信頼を得ているようだ。

社会・経済活動の再開を受け、ANAやJALなどは減便・運休していた国内線の一部を復便した。各社は終息時期の見えないコロナと共存しながら乗客の安全・安心を確保する方策を模索している。

JAL執行役員で路線統括本部商品・サービス企画本部長の佐藤靖之氏は17日、ロイターなどとの取材で、感染防止対策は顧客の安心確保が第一目的だが、需要回復に「少しでも効いてほしい」と期待を寄せた。

緊急事態宣言の発令中、JALの国内線予約数は前年同期比で数%台にまで落ち込んだが、解除後は10%以上に回復してきた。「ビジネス客を中心に徐々に戻ってきている」と会社側も手応えを感じている。

ただ、乗客の不安を完全に払拭するのは容易ではなさそうだ。JALの客室乗務員は、荷物を頭上の棚に入れるのを手助けする際「乗客に一歩後ずさりされる時がある」と打ち明ける。別の客室乗務員によれば、機内食を口にしない乗客もいるという。

今後のさらなる感染リスク拡大も懸念される。乗客の菅さんも、利用者がさらに増えた場合に「対策が追い付くのかは不安だ」と話す。JALの国内線を6月上旬に利用した高橋良多さん(35)も、手荷物検査場などが密になりかねないと心配している。


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