最新記事

航空機

航空会社、徹底したコロナ対策で旅客呼び戻しへ 国際線の需要回復は3、4年後か

2020年6月18日(木)17時35分

国内線の需要回復は1―2年後

もっとも、各社による感染防止対策の徹底と乗客の協力が広がれば、国内線の需要は1―2年程度でコロナ前の水準に回復するとの見方が多い。JPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは、各社の対策は「需要回復に一定程度の効果がある」と指摘。機内は「3密」のイメージが先行しやすいが、消毒など対策内容や空気循環システムが理解されれば「飛行機を安心と思い、利用する人は増える」とみている。

航空事業の指標の1つである座席利用率(ロードファクター)がコロナ前の水準に戻るのは2021年度下期と姫野氏は予想。訪日客が見込みにくい一方、国の需要喚起策「GO TO キャンペーン」を背景に国内旅行が盛んになるとみるためだ。

航空経営研究所の橋本安男主席研究員は「航空需要はGDP(国内総生産)の動きに連動する」と指摘する。経済協力開発機構(OECD)は、感染第1波で収束した場合、日本の21年実質GDPの成長率はプラス2.1%で、20年のマイナス6.0%からは回復基調になると予測している。橋本氏は、急激な落ち込みの後に徐々に需要を取り戻す「チェックマーク型」の軌道で回復するとみている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の土谷康仁シニアアナリストは、コロナが一足先に落ち着きを見せたことで旅客需要が回復してきた中国と同様の動きが日本でも見込まれるとし「来年度には、コロナ以前(の需要水準)に戻る」と予想する。

中国民用航空局によると、5月の旅客数は前年同月比52.6%減で、4月の68.5%減から緩やかに回復している結果となった。

国際線の需要回復は3―4年後

一方、第2波のリスクがあるほか、各国の出入国制限解除の時期が不透明なため、国際線が回復するには3―4年ほどかかるとみられている。ANAとJALは、7月の国際線も当初計画の9割超の減便・運休を続ける。国際航空運送協会(IATA)も5月中旬、国際線需要が19年の水準に戻るのは24年ごろになるとの見通しを示した。

日本はまずタイなど4カ国と出入国制限緩和に向けた協議に入ったが、航空経営研究所の橋本氏は「需要回復への道のりは長く、緒についた段階にすぎない」と見る。

テレワークの普及も需要回復の逆風になる恐れがある。費用のかかる海外出張をテレワークで代替する動きが広がれば「コロナ前(の需要水準)に戻るのは難しい」とJPモルガン証券の姫野氏は考える。

岡三証券の山崎慎一シニアアナリストは「ワクチンなどの解決策がない限り(回復の)門は開きにくい」と指摘する。とりわけリスクに慎重な国民性の日本人は、海外渡航を抑制しやすいと予想している。

JALとANAは、国際線の復便や需要回復の時期について、現時点で回答できないとしている。


新田裕貴(編集:白木真紀、平田紀之)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染41人 6月の感染合計440人に
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・米6州で新型コロナ新規感染が記録的増加 オレゴンでは教会で集団感染
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP1.4%増に急減速、25年第4四半期速報値

ワールド

イラン、数日中に対案準備 米との核協議巡り=アラグ

ワールド

トランプ氏、最高裁の関税違法判断「恥ずべきこと」

ビジネス

米コアPCE価格指数、12月は前月比0.4%上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中