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米中関係米ナスダック、上場基準を厳格化 中国企業のIPO制限へ

金融市場運営会社の米ナスダックは、近く公表する新規株式公開(IPO)の新たなルールで上場基準を厳格化し、一部の中国企業の上場を制限する見通し。写真はニューヨークで2015年9月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)
金融市場運営会社の米ナスダックは、近く公表する新規株式公開(IPO)の新たなルールで上場基準を厳格化し、一部の中国企業の上場を制限する見通し。複数の関係者が18日明らかにした。
新たなルールで特定の中国企業の社名が挙がることはないものの、今回の厳格化には、ナスダック上場を目指す一部中国企業の会計の透明性欠如や有力者との近い関係を巡る懸念が大きく関係しているという。
ナスダックに昨年上場した中国コーヒーチェーン大手ラッキンコーヒーは先月、最高執行責任者(COO)と社員による売上水増しが発覚したと発表した。
貿易や技術利用、新型コロナウイルス流行を巡り米中の対立が深まる中、ナスダックによる中国企業の上場制限は、両国の金融関係の新たな火種となり得る。
ナスダックは既に昨年、中国の中小企業による上場を減らすための上場制限を発表している。
小規模の中国企業が米国でIPOを目指す理由は、資本規制のある中国では調達の難しい米ドルを創業者や支援者が受け取ることができるためだ。
ただ、こうした中小企業の株の流動性は低く、ナスダックが重視する大口の機関投資家には魅力に映らない。
関係筋によると、新たなルールでは、中国を含む一部の外国企業について、IPOで2500万ドルの調達、あるいは上場後時価総額の少なくとも25%の調達を義務付ける。
ナスダックがIPO規模の下限を設けるのは初めて。リフィニティブのデータによると、ナスダックに2000年以降に上場した中国企業155社のうち、IPO調達額が2500万ドルを下回った企業は40社に上る。
新ルールでは、IPOを目指す中国企業の会計を監査する米企業の監査手法について、ナスダックが調べることになるという。


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