最新記事

米中関係

米ナスダック、上場基準を厳格化 中国企業のIPO制限へ

2020年5月19日(火)12時24分

金融市場運営会社の米ナスダックは、近く公表する新規株式公開(IPO)の新たなルールで上場基準を厳格化し、一部の中国企業の上場を制限する見通し。写真はニューヨークで2015年9月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

金融市場運営会社の米ナスダックは、近く公表する新規株式公開(IPO)の新たなルールで上場基準を厳格化し、一部の中国企業の上場を制限する見通し。複数の関係者が18日明らかにした。

新たなルールで特定の中国企業の社名が挙がることはないものの、今回の厳格化には、ナスダック上場を目指す一部中国企業の会計の透明性欠如や有力者との近い関係を巡る懸念が大きく関係しているという。

ナスダックに昨年上場した中国コーヒーチェーン大手ラッキンコーヒーは先月、最高執行責任者(COO)と社員による売上水増しが発覚したと発表した。

貿易や技術利用、新型コロナウイルス流行を巡り米中の対立が深まる中、ナスダックによる中国企業の上場制限は、両国の金融関係の新たな火種となり得る。

ナスダックは既に昨年、中国の中小企業による上場を減らすための上場制限を発表している。

小規模の中国企業が米国でIPOを目指す理由は、資本規制のある中国では調達の難しい米ドルを創業者や支援者が受け取ることができるためだ。

ただ、こうした中小企業の株の流動性は低く、ナスダックが重視する大口の機関投資家には魅力に映らない。

関係筋によると、新たなルールでは、中国を含む一部の外国企業について、IPOで2500万ドルの調達、あるいは上場後時価総額の少なくとも25%の調達を義務付ける。

ナスダックがIPO規模の下限を設けるのは初めて。リフィニティブのデータによると、ナスダックに2000年以降に上場した中国企業155社のうち、IPO調達額が2500万ドルを下回った企業は40社に上る。

新ルールでは、IPOを目指す中国企業の会計を監査する米企業の監査手法について、ナスダックが調べることになるという。

[ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20200526issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中