最新記事

日本経済

新型コロナウイルス直撃の日本企業、設備投資計画「全て先送り」「最低限のみ」が8割弱

2020年4月16日(木)11時05分

4月ロイター企業調査では、新型コロナウイルスによる事業への影響について「終息のめどが立たない」との回答が3月の2割から6割に急増、企業が不透明感を強めていることがわかった。写真は2017年1月、神奈川県横浜市で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

4月ロイター企業調査では、新型コロナウイルスによる事業への影響について「終息のめどが立たない」との回答が3月の2割から6割に急増、企業が不透明感を強めていることがわかった。設備投資も、現時点で見送りないし最低限にとどめる企業が8割弱を占め、感染終息後も前年並みか縮小とする企業も8割強と、縮小傾向に歯止めはかかりそうにない。

政府が新型コロナウイルス対策として打ち出した事業規模108兆円の緊急経済対策については、規模感はまだ不足しているとの見方が75%を占めた。サプライチェーンに影響が出ている企業の割合も前月調査より増え、半数を超えた。政府に対しては、消費刺激策や資金繰り対策のさらなる拡充を希望する声が多い。

調査は4月1日から13日までの期間に実施、調査票発送企業は499社、回答社数は230社程度だった。

サプライチェーン、世界的物流停滞に局面変化

新型コロナウイルス関連で売り上げや生産が減少した企業は56%に上り、3月調査の47%から増加した。うち1─3割程度の減少は45%、3割以上の減少は11%と、どちらも増えた。

サプライチェーンに影響が出ている企業は3月の47%から59%に増加。中国の工場停止などの影響に加え、欧米での経済停滞や、世界的な物流停滞を挙げる声がここへきて目立ち始めた。

企業からは「欧米メーカーによる不可抗力宣言が続発。検査立ち会いが実施できず、工程や納期の見通しが極めて立てづらい状況にある」(機械)、「中国との物流に影響が出ており、現地工場が稼働しても船便や航空便の確保に苦慮している」(その他製造)といった声があった。

中国からの入荷の遅れでは「マスクや衛生用品の納入が停滞」(サービス)、「衛生陶器と照明機器の納期が遅れている」(建設・住宅メーカー)といった状況となっている。

事業への影響終息めど立たず 前月の3倍に

新型ウイルス感染拡大に伴う事業への影響が終息する時期については「めどがたたない」との回答が前回の22%から60%に増加した。

「ワクチン・新薬の実用化なしには、今回の事態は終息しない」(化学)との声が増えた。打撃が大きい自動車業界からは「実体経済へのダメージが大きく、元の水準までは回復しない」(輸送用機器)との弱気な見方もある。

関連業界では「自動車メーカーの操業停止が拡大しつつあり、グローバルで影響が大きくなってくる」(金属製品)など不安も広がっている。建設業界からは「インバウンド需要に頼っていた部分が多く、終息後も国内の先行き次第」との声が寄せられた。


【関連記事】
・日本・台湾・香港の「コロナ成績表」──感染爆発が起きていないのはなぜ?
・アメリカが期待した「クロロキン」、ブラジルで被験者死亡で臨床試験中止
・「社会的距離の確保、2022年まで必要な可能性」米ハーバード大学が指摘
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中