最新記事

世界経済

米FRB、通貨スワップ新たに韓国など9中銀と締結 新型コロナウイルス流行による混乱緩和へ

2020年3月20日(金)06時40分

米連邦準備理事会(FRB)は19日、9カ国の中央銀行と新たに通貨スワップ協定を結んだと発表した。ワシントンのFRB本部で2018年8月撮影(2020年 ロイター/Chris Wattie)

米連邦準備理事会(FRB)は19日、9カ国の中央銀行と新たに通貨スワップ協定を結んだと発表した。ドル資金の市場への供給を拡充し、新型コロナウイルス流行による混乱緩和を目指す。

スワップ協定を結んだのはオーストラリア、ブラジル、韓国、メキシコ、シンガポール、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ニュージーランド(NZ)の中銀。FRBは2007─09年の金融危機時にも、これら中銀と通貨スワップを締結した。

規模は総額4500億ドル。協定の期間は少なくとも6カ月。

FRBは声明で「世界のドル資金調達市場でみられる緊張および国内外での家計と企業への信用供与における緊張を緩和させることが目的」とした。

FRBは日銀や欧州中央銀行(ECB)など主要5中銀との通貨スワップ協定を恒常的に維持している。

FRBは15日に政策金利をゼロ付近に引き下げ、債券買い入れを再開するなど、新型コロナによる経済への影響軽減に向けた一連の措置を講じている。

チャールズ・シュワブのバイスプレジデント(トレーディング・デリバティブ部門)のランディー・フレデリック氏は「FRBはここ数週間、かなり大胆な対応に出ているが、その大半は市場で短命に終わっている。今回は効果が出るよう期待したい」と述べた。

市場の混乱を受け、このところ海外でのドル需要が高まっており、ドル指数は過去8営業日で7%超上昇。これは1990年代初め以来の上昇率となっている。

メキシコペソ、豪ドル、NZドルは通貨スワップ拡大の発表を受けて1%超上昇。このところ、メキシコペソは過去最安値水準にあったほか、豪ドルやNZドルも10数年来ぶりの安値に下落していた。

*内容を追加しました。

[ワシントン 19日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人主義
・新型コロナ:中国「新規感染者数ゼロ」の怪
・日本が新型肺炎に強かった理由


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ大統領、「利下げしない候補者は任命しない」

ワールド

アングル:高級品業界が頼る中東富裕層、地政学リスク

ワールド

トランプ氏、イラン制裁解除計画を撤回 必要なら再爆

ワールド

トランプ氏、金利1%に引き下げ希望 「パウエル議長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 5
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 6
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 7
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 10
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中