最新記事

EC

中国アリババ、欧州でアマゾンに攻め込み出店募る 大手ブランドは二の足

2020年1月15日(水)16時46分

欧州市場で肩慣らしを続けていた中国の電子商取引大手アリババ・グループが、ついに攻勢に出た。写真は浙江省杭州市のアリババ本社内。2019年11月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

欧州市場で肩慣らしを続けていた中国の電子商取引大手アリババ・グループが、ついに攻勢に出た。競合する米アマゾンに比べて手数料を引き下げ、地元ベンダーにプラットフォームを開放している。ただ、事情を直接知る関係筋6人によると成果はまだら模様だ。

アリババの欧州プラットフォーム「アリエクスプレス」には、ここ数カ月で小規模企業が雪崩を打って登録したが、大手ブランドは出店を控えている。

関係筋5人によると、アリババはMANGO(マンゴ)やベネトンといった有名ブランドにも出店を持ちかけたが、応じる企業は限定的だ。

アリエクスプレスでは、18ドル程度の人工皮革ミニスカートや14ドルのアクリル製セーターなどが売られており、自社製品にふさわしくないと考えるブランドもあるという。アリエクスプレスへの出店を断った大手ブランド企業幹部は、自社製品には「志の高い環境」が必要だと語った。

しかしアリエクスプレスの責任者Wang Mingqiang氏は杭州のアリババ本社でインタビューに答え、海外ブランドからプラットフォームへの理解を得るには時間がかかると指摘。各社はプラットフォーム内で独自のデザインの店舗を開き、思い通りの雰囲気を出すことが可能だと強調した。

アリエクスプレスはこれまで、安い中国製品を海外で販売することに集中してきた。しかしここ半年間は、中国で成功した「仮想モール」モデルを再現するため、海外で地元ベンダーへのプラットフォーム開放に力を入れ始めた。

また関係筋によると、スペインではベンダーの月額料金を免除し、商品が売れるたびに課す販売手数料の率を5―8%に設定した。

アマゾン広報によると同社の料金は売上税を含めて月額39ユーロで、販売手数料率は7―15%。宝飾品やアマゾン機器付属品など、一部商品の手数料率はもっと高い。

アリエクスプレスの広報は、スペインでは2019年に地元ベンダーにプラットフォームを開放して以来、数千の小規模企業が登録したと説明する。

アマゾンは18年時点でスペインの小規模企業8000社超が出店中としているが、アリエクスプレスのペースも順調なようだ。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大麻規制緩める大統領令に近く署名か 米

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中