最新記事

アメリカ経済

米FRBが0.25%追加利下げ 追加緩和の手掛かり示さず

2019年9月19日(木)10時33分

米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント引き下げることを7対3で決定した。写真はワシントンのFRB本部。3月撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定した。利下げは予想通りで、前回7月に続き今年2回目。ただ、今後の追加利下げを巡ってはほとんど手がかりを示さず、即座にトランプ大統領の痛烈な批判を招いた。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、米経済見通しは「良好」だとした上で、世界的な経済成長の鈍化や通商問題を巡る緊張の高まりなどの「現在見られるリスクに対する保険」として、利下げを決定したと説明した。

今後については「景気が実際に下向けば、より長期にわたる利下げが適切となる可能性がある」との見方を示した。ただ、国内労働市場は力強く、インフレ率はFRBが目標とする2%に回復する公算が大きいと指摘し、「現在直面しているのはFF金利の適度な調整による対応が可能かつ適切な状況だとわれわれは考える」と言明。

今後の対応は「データに大いに左右される。あらかじめ決められた軌道には乗っておらず、会合ごとに判断する」と述べた。その上で「十分な措置を講じたと判断」した時点で利下げを停止する方針を示した。

FRBはFOMC声明で、労働市場は「力強く推移」し、経済活動は「緩やかなペースで拡大している」と指摘。雇用の伸びは「概してここ数カ月堅調」だったとしたほか、家計支出は「力強いペースで増加した」とした。ただ「企業の設備投資と輸出は弱まった」との認識を表明。見通しに対する「不透明性」は残るとし、「景気拡大を維持するために適切に行動する」とした。

FRBの利下げ幅が25bpにとどまったことについて、トランプ大統領は、ツイッターへの投稿で「根性なし。判断力なし。展望なし!」と批判。パウエル議長については「恐ろしいほど意思疎通が下手だ」とし、「パウエル議長とFRBはまたもやしくじった」と不満を示した。

FRBの決定を受け、米株価は一時下げ幅を拡大する場面もあった。米10年債利回りはやや上昇した。

190924cover-thum.jpg※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米インテル、20%超の人員削減を今週発表へ=ブルー

ビジネス

原油先物は約1%高、対イラン追加制裁や米原油在庫減

ビジネス

ロシアが25-27年の石油・ガス輸出収入予想を下方

ワールド

米厚生長官ら、食品の石油系合成着色料の使用禁止計画
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 4
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 8
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 9
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 10
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中