最新記事

キャッシュレス

キャッシュレス化は消費促進に有効? 消費税引き上げ対策にも

2019年7月12日(金)12時30分

中国人買い物客

日本を訪れる観光客の増加、とりわけ中国人観光客による消費は、日本経済における数少ない明るい材料の1つだ。彼らは、日本国内30万以上の店舗で導入済みの中国アント・フィナンシャルの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を利用する。

大手百貨店の免税カウンターでは、アリペイのアカウントに直接、税を払い戻すところもある。アリペイはターゲット広告を使い、利用者の近くにあるおすすめの品や、周辺に置かれている関連商品も表示する。利用者が中国に戻ると、オンラインで購入できる同じような日本製商品が表示される。

韓国の決済サービス「カカオペイ」のリュ・ヨンジュン社長は5月、ロイターとのインタビューで、日本のキャッシュレス化が進むことを見越し、参入を検討していることを明らかにした。

「日本に行くとクレジットカードを利用できない店が多い。日本でカカオペイを使えたら便利だろうと考えた」と、リュ社長は話した。

10月にサービスを開始した日本のデジタル決済サービス「Paypay(ペイペイ)」はアリペイと提携しており、国内での導入拡大に弾みとなりそうだ。

東京でカレー店を営む小宮聡さん(39)は、1年間手数料無料という条件で3カ月前にペイペイを導入した。売り上げは「少し」伸びたという。

「これからだと思う。今のところ問題はない」と、小宮さんは話した。

消極的な小売店

だが、Origami(オリガミ)やLINE、メルカリなどの決済サービス提供者は、3%程度の利用料を店側から徴収するのが普通だ。

ニッセイ基礎研究所金融研究部の福本勇樹主任研究員によると、日本の小規模小売店の平均的な利益率は2%程度であり、手数料は決済サービス導入の大きな障害となっている。

日本の至る所に設置された自動販売機や食券販売機は現金しか受け付けつけないものも多く、電子決済に対応させるのは簡単ではない。

「QRコード決済を付ければお客さんがもっとお金を使ってくれると言われているが、私の店ではそういうことは起きないと思う」

都内でテニスショップを営む横山知子さん(50)はこう話し、「毎回手数料を払うのなら、商品を割引しているのと同じだ。私のような店ではそれが地獄だ」と付け加えた。

Stanley White
(翻訳:山口香子、 編集:久保信博)

[東京 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

AI懸念が米金融株にも波及、資産運用新興の新ツール

ビジネス

MSCI銘柄入れ替え、日本はイビデンなど2銘柄を新

ワールド

米財務省、ベネズエラ石油・ガス探査・生産へライセン

ビジネス

パラマウント、WBD買収条件引き上げ 違約金など負
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中