最新記事

メディア

若者のSNS拡散力に賭けるAbemaTV 地上波超えの野望

2019年3月19日(火)11時40分

10代の女子高生から絶大な支持を集める雑誌「Popteen(ポップティーン)」の表紙を飾る専属モデルの座を獲得するのはだれか──。写真は都内にあるAbemaTVのスタジオで2月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-hoon)

10代の女子高生から絶大な支持を集める雑誌「Popteen(ポップティーン)」の表紙を飾る専属モデルの座を獲得するのはだれか──。2月22日夜、都内のテレビスタジオで「あやみん」や「きょうきょう」など可愛らしいニックネームを持つ10代のモデル12人が、緊張した面持ちでその瞬間を待っていた。

若者をターゲットに

インターネットテレビ「AbemaTV」で人気急上昇となった「Popteenカバーガール戦争」は、日本のテレビの新しい方向性を示しているのかもしれない。

米国の新興メディア、ネットフリックスなどはコストがかかる「シリーズもの」のドラマやスターが出演する映画などを配信することで伝統的なテレビ局のビジネス領域に侵食しているが、AbemaTVは低予算の中で、ソーシャルメディアで拡散力を持つ世代に焦点を当てた番組づくりを進めている。

この戦略は何百万人もの若い視聴者を引きつけるとともに、もうかるビジネスに大化けする可能性があるとして、広告主や業界アナリストも納得させた。

地上波などのテレビ局は、全世代を意識した番組づくりをしているため、若者にとっては物足りなく感じることもある。

これに対し、AbemaTVは若者に的を絞っているだけに展開が速い。サイバーエージェントの谷口達彦執行役員(AbemaTV編成制作本部制作局長)は「情報処理に長けた世代なので、問題なくついてくる」と指摘。ドラマは「イメージだが、2倍の脚本をぎゅっと詰め込んでいる感じだ」と語った。

赤字続きも先行きに自信

AbemaTVは、2015年4月にサイバーエージェントとテレビ朝日が共同で立ち上げた。

サイバーエージェントは、インターネット広告やゲームとともに収益の柱として育てたい考えだが、足元ではまだ実績を出せていない。AbemaTVの2018年9月期の営業損益は、先行投資がかさみ208億円の赤字だった。2019年9月期も200億円の営業損失を見込んでいる。

インターネットテレビを巡っては、海外プレーヤーの参入も相次ぎ、競争環境は厳しさを増している。

彼らは保有する豊富なコンテンツに字幕を付けて提供するだけでなく、ネットフリックスの恋愛リアリティーショー「テラスハウス」のように日本発の番組も提供しながら、日本の視聴者を取り込んでいる。

しかし、サイバーエージェントの藤田晋社長は、事業の先行きに自信を示す。

AbemaTVは2016年4月の開局以来、ダウンロード数が3700万件にのぼり、1週間あたりの視聴者数(WAU)はこの年末年始に918万人に達した。

ゴールドマン・サックス証券のアナリスト、杉山賢氏は2020年9月期に事業が黒字転換し、2024年9月期に売上高が1621億円、営業利益が721億円になると予想している。

最終消費者が対象の企業は、インターネットで効果的な広告機会を模索している。その際、問題となるのが広告を出すにふさわしいコンテンツ不足だ。杉山氏は「インターネットではプロがつくるコンテンツが必要とされているが、特に日本では不足している」と語った。

良質なコンテンツを提供できれば、広告売り上げを伸ばせる余地は大きい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米経済活動、7地区で緩やかな拡大 見通しは全体に楽

ワールド

イラン、CIAに停戦協議打診か イスラエルは米に説

ワールド

ハメネイ師息子モジタバ師、後継有力候補との情報 米

ビジネス

プーチン氏、欧州向けガス供給の即時停止の可能性を示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 8
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 9
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中