最新記事

教育

忍び寄る「大学倒産」危機 2000年以降すでに14校が倒産している

2018年12月3日(月)10時20分
松野 弘(社会学者、大学未来総合研究所所長)

最初の大学倒産は1950年、設立わずか1年だった

それでは、このようなダメージによって経営が困難に陥ると、大学はどうなるのであろうか。民間企業であれば「倒産」という言葉が思い浮かぶが、大学が倒産するということはあるのであろうか? 

営利企業とは異なり、教育的・社会的使命を担った大学に倒産のイメージが合わないと感じる読者も多いかもしれないが、筆者の調査では2000年以降に経営破綻を主な理由として廃止、または、民事再生法を申請した四年制の私立大学は14校にのぼる。

さらに、学生募集停止を発表して、在学生が全員卒業すると廃止となる見通しの大学もある。なお、文部科学省では、「倒産」という経済用語は使用せず、(1)大学の「廃校」措置、(2)大学の志願者の「募集停止」等の言葉を使用しているが、実際には「倒産」による大学法人の解散である。

2000年以降経営破綻による廃止または民事再生法を申請した大学

(「破綻した年」は廃止した年もしくは民事再生法を申請した年である)

matsuno181203-a-chart_v2.png
(出所:各学校の大学法人ホームページや文部科学省資料より) ※同じ年に廃止した大学は廃止日順に記載している。同日に廃止した大学は大学名の頭文字五十音順に記載した。


大学倒産の歴史をさかのぼると、1950年の久我山大学の事例にたどり着く。同大学は1949年に設立されたものの、翌1950年には早くも学生募集を停止し、同年12月28日に廃校が認可されている。設立後わずか1年で廃校となり、当然ながら一人も卒業生を出していない。

久我山大学の倒産については当時の衆議院文部委員会でも取り上げられ、「私立学校法ができてからの最初のケースになるのではないか」という指摘と同時に、「いくら経営が困難だからといつて、途中でもつていきなりやめるのは不当だ」という、今日の大学倒産の問題にも通じる指摘が記録されている(衆議院会議録情報 第009回国会 文部委員会 第3号)。

その後も大学の統廃合の事例は存在するが、いずれも系列大学への統合や経営困難以外の理由による発展的な合併がほとんどである。それだけに、2000年に入ってからの相次ぐ大学倒産はやはり異常事態と言わざるを得ない。なぜ、これらの大学は倒産したのであろうか。

(後編に続く)

※後編:倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...

20201201issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

12月1日号(11月25日発売)は「BTSが変えた世界」特集。常識を覆して世界を制した「現代のビートルズ」。彼らと支える熱狂的ファン「ARMY」との特別な絆

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日本車8社の10月世界生産2.7%増、2カ月連続プ

ビジネス

三井不動産、東京ドームに1株1300円でTOB

ワールド

ECB、超低金利で政府の支出支援続けるべき=パネッ

ビジネス

GDPギャップ34兆円、3次補正は相当なもの必要=

MAGAZINE

特集:BTSが変えた世界

2020-12・ 1号(11/25発売)

常識を覆して世界を制した「現代のビートルズ」── 彼らと支える熱狂的ファン「ARMY」との特別な絆

人気ランキング

  • 1

    次期米国務長官から「車にはねられ、轢かれた犬」と見捨てられたイギリス

  • 2

    「燃える水道水」を3年間放置した自治体を動かした中国の証拠動画

  • 3

    中国政府、少数民族弾圧はウイグルに留まらず 朝鮮族の学校からハングルを抹消へ

  • 4

    スタートした政権移行作業、トランプはどうして認め…

  • 5

    ビルボード1位獲得のBTS──ダイナマイトな快進撃の舞…

  • 6

    オバマ回顧録は在任中の各国リーダーを容赦なく斬り…

  • 7

    麻生大臣はコロナ経済対策を誤解している?「給付金…

  • 8

    グラミー賞ノミネートのBTSとその音楽がこんなにも愛…

  • 9

    11月13日、小惑星が地球に最も接近していた......

  • 10

    バイデンとの関係に苦慮する文在寅政権

  • 1

    女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多めのウェア着ている選手が悪いのか?

  • 2

    米爆撃機2機が中国の防空識別圏に異例の進入

  • 3

    オーストラリアが打ち砕く、文在寅に残された「たったひとつの希望」

  • 4

    【オバマ回顧録】鳩山元首相への手厳しい批判と、天…

  • 5

    やはり、脳と宇宙の構造は似ている......最新研究

  • 6

    大統領選の「トランプ爆弾」不発に民主党はがっかり…

  • 7

    次期米国務長官から「車にはねられ、轢かれた犬」と…

  • 8

    11月13日、小惑星が地球に最も接近していた......

  • 9

    中国政府、少数民族弾圧はウイグルに留まらず 朝鮮族…

  • 10

    オバマ回顧録は在任中の各国リーダーを容赦なく斬り…

  • 1

    アメリカ大統領選挙、郵政公社がペンシルベニア州集配センターで1700通の投票用紙発見

  • 2

    半月形の頭部を持つヘビ? 切断しても再生し、両方生き続ける生物が米国で話題に

  • 3

    アメリカを震撼させるオオスズメバチ、初めての駆除方法はこれ

  • 4

    女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多…

  • 5

    アメリカ大統領選挙、ペンシルベニア州裁判所が郵便投…

  • 6

    事実上、大統領・上院多数・下院多数が民主党になる…

  • 7

    世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由

  • 8

    米爆撃機2機が中国の防空識別圏に異例の進入

  • 9

    トランプでもトランプに投票した7000万人でもない、…

  • 10

    オーストラリアが打ち砕く、文在寅に残された「たっ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月