最新記事

ビジネス

最初は「自分が何者か」よりも「誰の下で働くか」が重要

2018年10月26日(金)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Deagreez-iStock.

<世界の変化に伴い「80対20の法則」がますます進化している。だが、それは快適な未来なのか。そんな時代にどのように生き、どんな会社・組織で働くべきなのか>

「利益の80%は顧客の20%がもたらす」「仕事の成果の80%は、費やした時間の20%から生まれる」という「80対20の法則」は、世界の変化に伴い進化しているのだと『人生を変える80対20の法則』の著者、リチャード・コッチは言う。

36の言語に翻訳され、世界的ロングセラーとなって20年。このたび刊行された『増補リニューアル版 人生を変える80対20の法則』(リチャード・コッチ著、仁平和夫・高遠裕子翻訳、CCCメディアハウス)には、その進化を解説した4章が新たに加えられた。

本書から一部を抜粋し、3回にわたって掲載するシリーズ。ここでは「第19章 八〇対二〇の法則の未来とあなたの居場所」から一部を抜粋する。「80対20の法則」が加速する未来は、果たして個人にとっていいことなのか、悪いことなのか。どうやって生きていけばいいのだろうか。

※第1回:あの「80対20の法則」が90対10、99対1になる時代へ
※第2回:ネットワークと「80対20」が変化を起こす4つの理由

◇ ◇ ◇

八〇対二〇の法則の未来は、正しく理解すればバラ色にみえるが、いま起きていることがわかっていないと戸惑いをおぼえるばかりだ。ほとんどの人にとって八〇対二〇の法則の未来は快適な場所とは思えないだろうし、勝手知ったる場所でもないだろう。大企業中心で育った人々にとって、世界はおおむね公正で予想できる場所だったが、ネットワーク中心の八〇対二〇の新世界は得体が知れない。

新世界をあえて定義すれば、こう言えるだろう。努力が報われるとともに、不要になっていく世界。「指揮統制型」の巨大企業が減り、非公式のネットワークがあちこちで生まれる世界。学歴で良い仕事が保証されない世界。不安定であることを前向きに受け止め、行動することによってのみ安定を確保できる世界。富とより良い生活への道が誰にも開けているが、みずから道を切り拓き、努力の森と凡庸というぬかるみを抜け出そうとしない者には門戸を閉ざしている世界。

八〇対二〇の未来は、きちんと定義されているわけではないし、矛盾にみち、わかりにくく、微妙なものである。自分がどうみるか、どう定義するかにかかっている。八〇対二〇の未来は、ひとりでに出現するものではない。隠れた金言を読み解き、自分の言葉にしなければならない。自分がやるしかない――材料はすべて揃っているが、最終製品になっていない。組み立てるのはあなたなのだ。あなたやあなたのチームがつくる製品は、わたしやわたしのチームがつくる製品とは違う。そこがいいところだ。成功と喜びに至る道は無数にある。それを発見し、具体化していくのだ。ほとんどの人には、なかなか理解できないかもしれない。とくに年配の人や自分の流儀にこだわる人には厳しいだろう。

あなたの八〇対二〇の未来に、出来上がった地図があるわけではない。だからこそ、挑戦しがいがあり、スリルがあり、わくわくする。地図がないのは、未来があなたの心のなか、あなたにいちばん近い友人や同僚の心のなかに存在するからだ。ほかのどこでもない。八〇対二〇の未来は不可思議で、曖昧で、霧がかかっている。そこが魅力的なのだが、情熱とビジョンがなければ、火をつけ、勢いを得ることはできない。必要なのは、見えない未来を信じる力だ。八〇対二〇の未来を目に見える形にするには、大きなアイデアを描き、それを信じて疑わず、情熱と理性、狂気とひらめきをもって実行することだ。さえない灰色の現実に押し潰されてはならない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ウォルマートCEOにファーナー氏、マクミロン氏は

ワールド

中国、日本への渡航自粛呼びかけ 高市首相の台湾巡る

ビジネス

カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも利下げ

ビジネス

米国とスイスが通商合意、関税率15%に引き下げ 詳
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新作のティザー予告編に映るウッディの姿に「疑問の声」続出
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 7
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 8
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 9
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中