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最初は「自分が何者か」よりも「誰の下で働くか」が重要

2018年10月26日(金)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

六〇対四〇や六五対三五の世界ならうまくいった方法も、八〇対二〇や九九対一の世界では通用しない。とはいえ、八〇対二〇の特徴はわかっている。想像力と強い意志があれば、これが新世界でも通用する指針になる。八〇対二〇の法則では取捨選択が重要だった。この点をふまえ、この短い章では、四〇年の探求のなかでわたしが発見した役立つヒントを五つだけお教えしよう。

(以下、ヒント3以外のヒントについては詳細を省く)

ヒント1 ― 働くならネットワークで

ヒント2 ― 小規模で高成長

ヒント3 ― 働くなら八〇対二〇の上司のもとで

八〇対二〇上司とはどんな人か。本人が意識しているかどうかはともかく、八〇対二〇の法則を体現している人だ。仕事ぶりをみればわかる。

●ごく少数のことに焦点を絞っている。それは、顧客に大きな影響を及ぼすこと、また仮に上司がいる場合、上司に大きな影響を及ぼすことだ(最高の八〇対二〇上司は、自分自身が上司の制約を受けない人たちだ。上司がいたとしても一時的であるのが望ましい)。

●短期間で成果を出している。

●時間が足りないということはなく、ストレスを溜めることがない。仕事中毒ではなく、いつも悠然としている。

●部下に期待するのは価値あるアウトプットであり、時間や労力といったインプットは気にしない。

●自分が何をしているか、それはなぜなのかを時間をとって部下に説明する。

●最小の努力で最大の結果が出せることに的を絞るよう、部下に促す。

●部下が最高の結果を出したときは褒め、そうでないときは建設的な批判をする。重要でない作業をやめ、重要な仕事を効率的にやるよう提案する。

●部下を信頼しているときは、すべて任せ、指導を仰ぎたいときだけ来るよう促す。

八〇対二〇上司のもとで働くのが、なぜ重要なのか?

八〇対二〇上司は、あなたの手本になる。あなたが成果を出せば、より大きな責任を任され、あなたが上司の仕事を引き継ぐことになるだろう。自分の仕事は部下に引き継ぐ。また八〇対二〇上司が昇進すると、あなたも昇進する可能性が高い。上司が他社に移れば、一緒に連れて行かれる可能性もある。ビジネス、スポーツ、エンターテインメント、学術、どの世界もそうだが、ほんとうの意味で成功している人は、どこかの段階で、こうした八〇対二〇上司のもとで働いたことがあるはずだ。

ある分野で勢いを得るのは簡単ではないが、すでにあるものを利用するのはそれほど難しくない。だとしたら、自分で勢いをつくるよりも、まずは上司の勢いを借りたほうがいい。

いち早く成功している人の後方につき、風よけしてのし上がるほうが、自分で流れを起こすよりずっと簡単だ。つまり、最初は、「自分が何者か、何をするか」よりも、「誰の下で働くか」のほうが重要なのだ。問題にぶつかるのは自分のことばかりではない。むしろ、ほとんどが上司のことだ。

いまの上司は八〇対二〇上司だろうか。そうでないなら、急いで見つけたほうがいい。あなたのキャリアが大きく飛躍するだろう。

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