最新記事

雇用

メルカリのIT技術者大量採用に見るインドトップ大学の就活ルール

2018年10月4日(木)12時20分
長瀧 菜摘(東洋経済 記者)*東洋経済オンラインからの転載

10月1日に行われたメルカリの新入社員向け説明会。一度にこれだけの外国籍社員を迎えるのは初めてだ(記者撮影)

「今日はメルカリにとってエポックメイキングな1日だ」。10月1日に行われた、メルカリの新入社員向け説明会。同社の山田進太郎CEOは、晴れやかな表情でそう語った。山田氏の視線の先にいるのは、同日付けでメルカリに入社した100人超の新入社員だ。そして、このうち半数近い44人が外国籍である。

一度にこれだけの数の外国籍社員を迎えるのは、メルカリにとって初の試み。山田氏が「エポックメイキング」と語ったのはそのためだ。メルカリは創業当初から"グローバルテックカンパニー"として存在感を高めることを目指し、アメリカとイギリスでも創業初期にフリマアプリの展開を開始。現地拠点での採用も積極的に行ってきた。

一方で日本国内は、最近まで日本人社員が大半を占めていた。「このままではグローバルカンパニーとはいえない。ということで、日本語が話せなくてもどんどん入社してもらえるよう、外国籍の社員のサポート体制を作ってきた。ようやく今、これだけの規模で受け入れられるようになった」(山田氏)。

インド理系最高学府「IIT」の卒業生も

newsweek_20181004_121525.jpg

メルカリの山田進太郎CEOは、過去最多の外国籍の新入社員を迎えるにあたり、「今日はエポックメイキングな日」と表現した(記者撮影)

今年6月に東証マザーズに上場したばかりのメルカリ。「短期的な収益を意識するフェーズではない」と山田氏が強調するとおり、主に国内事業で稼ぐ利益を積極的に再投資している。その重点分野として「テクノロジー」「海外」とともに挙げるのが「人」だ。メルカリグループ全体の従業員数は今年6月末で1140人と、前年(596人)からほぼ倍増している。

国内での採用活動と並行し、メルカリは外国籍社員の採用に力を注ぐ。メルカリの東京本社で働く社員の国籍数は、直近で28まで広がった。今回入社した44人の内訳を見ると、最も多いインドが32人、台湾3人、アメリカ2人、中国2人と、イギリス、ベルギー、フランス、カナダ、シンガポールが1人ずつだ。

インドの理系トップ大学として知られるインド工科大学(IIT)カラグプル校でコンピューターサイエンスを学んだサヒル・リシさんも、新卒新入社員として今回メルカリにやってきた一人だ。

昨年10月、メルカリがインドで開催した学生向けのハッカソン(ソフトウエア開発コンテスト)で優勝したのをきっかけに、東京本社でのインターンシップにも参加した。「(国籍や宗教などが)多様な社員に対してインクルーシブ(包摂的)であろうとする企業文化に共感し、入社したいと思った。インターンでついてもらったメンターからは、多くのことを学んだ」(サヒルさん)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中