最新記事

自動車

高級ミニバン決戦 エルグランドvs.アルファード・ヴェルファイア、勝敗の決め手は?

2018年6月21日(木)15時45分
御堀 直嗣(モータージャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

以前はエルグランドが王者でしたが、今は…(写真:トヨタグローバルニュースルーム、日産自動車ニュースルーム)

トヨタ自動車「アルファード/ヴェルファイア(通称、アル・ヴェル)」、日産自動車「エルグランド」といえば、背の高い大柄な車体のボディに加えて、押し出しの強いフロントマスクや最大8人がゆったり乗車できる広々とした室内、豪華な内装を備える高級ミニバンだ。

アル・ヴェル兄弟とエルグランドはコンセプトも似ていて競合の関係にあるが、日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、2017年(1〜12月)の販売台数はアル・ヴェル合計で約8万8000台に対し、エルグランドは約8000台と10倍以上の差が開いている。

高級ミニバン市場では、エルグランドが王者だった

しかし、もともとは高級ミニバン市場では、エルグランドこそが王者だった。

アル・ヴェルの前身は、ワンボックスカーを基にした後輪駆動の「グランビア」である。グランビアは1995年に生まれ、一世代のみで2002年に生産を終えている。

それまでのワンボックスカーの基本形であるエンジンを運転席下に搭載するキャブオーバーとは異なりエンジンを客室前方に配置したとはいえ、運転席はキャブオーバー時代とあまり変わらぬ高さで、走行感覚はワンボックスカーと同じように、重心が高いため落ち着かないような場面もあった。ただし、エンジンが運転席下から客室前方へ移されたことにより、静粛性は高まり、快適性が向上した。

グランビアの2年後である1997年に初代エルグランドが誕生する。こちらは顔つきのはっきりした強い存在感があり、高性能なV型6気筒エンジン搭載車も車種構成に含まれることで、豪快で迫力のある走りが特徴となった。ファミリーカーの上級車版といったおとなしい印象のグランビアに対し、技術の日産を彷彿とさせる走行性能の高いエルグランドという個性の差が販売に強く味方し、この時代の高級ミニバン市場はエルグランド優位で進んだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中