最新記事
ブランド

米国発祥「フォーエバー21」日本1号店はなぜ閉店したのか

2017年11月10日(金)20時29分
真城愛弓(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

日本市場での競争が激化

実は原宿店に先立って、今年1月にダイバーシティ東京 プラザのお台場店と、ららぽーとTOKYO-BAYの船橋店が同時に閉店した。

フォーエバー21はZARAやH&Mといったライバル勢に比べて、男性向けや子供向けの商品が少ない。5フロアを展開していた原宿店でもメンズは1フロアのみ。家族連れの客も多いららぽーとの店舗では、レディス商品を主力とするラインナップが裏目に出たとみられる。

日本のファストファッション市場ではファーストリテイリングが展開するユニクロが圧倒的優位にあり、同社の低価格ブランドであるGUが店舗網を拡大している。こうした競争環境下で、価格帯がバッティングしていたGAPの低価格ブランド「オールドネイビー」は今年1月末までに日本の店舗を全店閉鎖した。安さをウリにするフォーエバー21もオールドネイビー同様に苦しい戦いを強いられている。

前出の飯嶋氏は「人々のおカネのかけ方が変わり、ファッションが一番の関心事ではなくなってきた。現状は国内の人口に比べて圧倒的にファッションが供給過剰。機能性などこだわりを発信できるブランドは残っても、安さだけでの勝負は厳しくなる」と分析する。

フォーエバー21は創業者であるドン・チャン氏の一族経営が続き、株式上場もしていない。業績不振が続く地域については、主戦場の米国でなくてもトップダウンの経営判断により、早期に閉店が決定する可能性もある。

日本では現在、札幌や沖縄を含め17店が営業を続ける。オープン当時の国内の熱狂ぶりを振り返れば、第1号店の原宿店は、あっけない閉店を迎えた。商品戦略の見直しに加え、競合との差別化をさらに明確にしないかぎり、フォーエバー21の閉店は続くかもしれない。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中