最新記事

金融

「1万円から資産運用」ロボアドバイザーは貯金感覚で広がるか

2017年8月25日(金)18時50分
猪澤顕明(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

toyokeizai170825-3.jpg

ウェルスナビのポートフォリオ表示画面(写真:ウェルスナビ)

優秀なエンジニア確保が喫緊の課題

上記のような要素の品質を高めようとすると、それぞれの分野で優秀なエンジニアが必要になる。ウェルスナビ、楽ラップ、テオのトップ3は、人材採用がサービス品質向上につながり、さらに優秀な人材が集まるという好循環を作り出せている。

一方、勝ち組と負け組は早くも鮮明に分かれてきている。そのほかのロボアド業者は預かり資産が数十億円どまりで、「ロボアドに必要な要素がどこか欠けている状態だ」と、前出のロボアド業者首脳は明かす。

ウェルスナビはクレジットカードや電子マネーで買い物をする際、一定金額を自動で積み立て、ロボアドでの資産運用に振り向ける「マメタス」というサービスを5月に始めた。狙いは「資産運用に対するハードルを下げ、自社のサービスを"インフラ"として利用者の生活に欠かせないものにしていくこと」(柴山和久CEO)。ただ、投資金額は一段と少額化するので運用の難易度はさらに高まる。

この"インフラ"という言葉は、お金のデザインの中村仁CEOも重視する。「金融商品は模倣性が強く、すぐに陳腐化する。だから、銀行口座と直結させるなど、インフラになることが重要。現預金として持つのではなく、ロボアドで運用しようというマインドに変われば、競争に勝てる」。

約1800兆円の個人金融資産のうち、過半が現預金になっている日本。長年叫ばれてきた「貯蓄から投資へ」の流れを現実のものとできるか。ロボアド業者が目指すインフラ化の動きが、カギを握りそうだ。

SBIホールディングスの会社概要 は「四季報オンライン」で

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BofAのCEO、近い将来に退任せずと表明

ワールド

トランプ氏、反ファシスト運動「アンティファ」をテロ

ビジネス

家計の金融資産、6月末は2239兆円で最高更新 株

ワールド

アブダビ国営石油主導連合、豪サントスへの187億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中