最新記事

中国経済

「爆買い」の火は消えるか?

2016年1月25日(月)18時25分

 ある店舗でマグカップやベッド用のシーツを物色していた30歳の女性Zhengさんは、「物価上昇に収入が追いつかないようだ」と不安を口にする。「こういうものは必要ない。もう少し自制して、買い物にも頻繁に行かないようしなければ」と語った。

 さらに厳しい打撃を受けるのは、中国で増大しつつある高齢者層かもしれない。医療費が可処分所得に食い込みつつあるからだ。

 すでに退職した55歳の女性は、ロイターの取材に対し、自分のお金の大半は都市部の大気汚染対策用のエアフィルターに使わざるを得なかったと語る。「病気になって病院に行く必要が生じたときのために、貯金しておきたいのだけど」と言う。

 中国国内に多数存在する小規模な小売店経営者は、彼ら自身も消費者だが、完全に国内需要に依存して生計を立てているだけに、厳しい状況に置かれている。

 上海で携帯電話ショップを経営するDongさんは、昨年下半期に売上が急激に落ちたという。「奇妙な話で、理由は分からない。株式市場が暴落したからかもしれない。2016年はもっと悪くなると思う」と話す。

逆風

 エコノミストは、今年、賃金が伸びず失業率が上昇すれば、消費者の支出は低下すると警告するが、そうなる可能性は高そうだ。

 また、最近の人民元安によって中国で販売されている多くの輸入品価格にその影響が及んでおり、中国人の購買力が内外で低下することも考えられる。

 「賃金上昇が緩やかになることで、今年は消費支出の伸びが抑えられると予想している。さらに、産業の不振が消費に及ぼす悪影響が強まるリスクも残っている」と、オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者ルイス・クイジス氏(香港在勤)は分析する。

 中国の国家統計局によれば、GDP成長に対する消費の貢献比率は、昨年15ポイント上昇して3分の2を超え、巨大な製造部門の減速を相殺することに貢献した。もっとも、そのうち民間消費ではなく政府支出によるものがどの程度あるのか、公式の内訳は発表されていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、4日に極超音速ミサイル発射実験 米をけん制

ビジネス

午前の日経平均は大幅反発、海外・個人マネー流入の思

ビジネス

見通し実現なら経済・物価の改善に応じ引き続き利上げ

ビジネス

米債券市場、26年はリターン縮小か 利下げペース鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中