最新記事

超高画質4K市場

次世代4Kブルーレイ:フォックスに続きソニーも映画タイトル第1弾を発表

4K市場拡大の効果が期待されるも、米メディアは「失望」

2015年11月13日(金)16時02分
高森郁哉(翻訳者、ライター)

不評? 『アメイジング・スパイダーマン2』公開時には、キャンペーンも好評で迎えられたが・・。Brendan McDermid- REUTERS

 9月上旬に寄稿した「超高画質の4K市場、2020年に1000億ドル超え--米調査会社予測」で、業界団体ブルーレイディスクアソシエーション(BDA)がウルトラHDブルーレイ(UHD BD)のライセンス提供を開始したことに触れたが、ここに来ていくつか大きな動きがあったので取り上げたい。

 BDAに加盟する主要企業でもあるソニーの映画会社、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは11月10日、パッケージ・ビジネス部門のソニー・ピクチャーズ ホームエンタ
テインメント(SPHE)を通じ、同社初のUHD BDタイトルを2016年初めに発売すると発表した。UHD BDタイトルのリリースを表明した大手映画会社としては、20世紀フォックスに次いで2社目となる。

 SPHEは第1弾として6タイトルを発表したが、大手メディアにはかなり不評のようだ。テックメディアのThe Vergeは、見出しからいきなり「みんな本当にひどい」(they all really suck)とこき下ろし、映画レビューサイトRotten Tomatoesで評論家たちの評価を集計した「トマトメーター」を添えてタイトルを並べた。それによると、『アメイジング・スパイダーマン2』(52%)、『チャッピー』(31%)、『ハンコック』(41%)、『スモーキング・ハイ』(68%)、『ソルト』(62%)、『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』(14%)といった具合。確かに、傑作の目安となる75%越えの「Certified Fresh」(新鮮保証)に該当するタイトルが1本もない。米フォーブスの記事も、「映画ファンは失望するだろう」とつれない反応だ。

 では、先に発表された20世紀フォックスのタイトルはどうだろうか。The Vergeの記事にならってトマトメーターを調べてみると、『キングスマン』(74%)、『X-MEN: フューチャー&パスト』(91%)、『エクソダス:神と王』(27%)、『ライフ・オブ・パイ』(87%)、『ファンタスティック・フォー』(10%)となった。高評価の作品が3本もあり、公開時期も比較的新しいものが多いので、ソニーの6タイトルが見劣りしてしまうのも仕方がないか。

 これらのUHD BDタイトルを視聴するには、専用のプレーヤーが必要になるが、パナソニックが本日11月13日、世界初のUHD BD再生対応を謳う「プレミアムディーガ UBZ1」を発売する。現行BDメディアと内蔵HDDでの録画再生機能も搭載するが、価格.comによると34万8000円程度(本稿執筆時点)となっていて、お値段も"プレミアム"だ。ソニーも当然、UHD BDタイトルのリリースに間に合うよう再生機を発売するだろうし、メーカー各社から製品が出揃って、なるべく早く手頃な値段に落ち着いてくれることを願う。


[執筆者]
高森郁哉
米国遊学と海外出張の経験から英日翻訳者に。ITニュースサイトでのコラム執筆を機にライター業も。主な関心対象は映画、音楽、環境、エネルギー。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中