最新記事

4K

超高画質の4K市場、2020年に1000億ドル超え--米調査会社予測

次世代BDプレーヤーが年内発売見込みも、主力はやはりテレビか

2015年9月2日(水)17時20分
高森郁哉(翻訳者、ライター)

普及する? 4K市場は急速に成長すると予測された Fabrizio Bensch-REUTERS

 米調査会社のマーケッツ・アンド・マーケッツ(M&M)は、4K解像度の映像関連製品の市場、いわゆる4K市場が、2014年の182億ドルから2020年には1021億ドルへと急速に成長するとの予測を発表した。対象となっている製品は、テレビ、モニター、デジタルサイネージ、セットトップボックス、スマートフォン、タブレット、ノートPC、プロジェクター、カメラ、ブルーレイプレーヤー。レポートの要点をまとめて紹介した4k.comの記事によると、2015年から2020年までの年平均成長率は21%以上となり、ハイペースでの市場拡大が見込まれるという。
 
 同レポートで扱った4K解像度には、「真の4K」である4096×2160ピクセルと、若干画素数が減るUltra HD(ウルトラHD、3840×2160ピクセル)の両方が含まれる。

 ウルトラHDに関しては、業界団体のブルーレイディスクアソシエーション(BDA)が、規格策定されたウルトラHDブルーレイ(UHD BD)のライセンス提供を8月24日に開始。BDAに加盟するパナソニック、ソニー、パイオニア、LG、サムスンのうち数社がUHD BDプレーヤーを年末商戦に間に合うよう発売すると見られ、今週4日ベルリンで開幕する国際見本市「IFA 2015」ではいくつか実機が初披露されるはず、とWhat HiFi?などが予想している。ただし、プレーヤーの発売に合わせてどの程度UHD BDのタイトルがリリースされるかにもよるが、アーリーアダプターは一部の高画質マニアにとどまり、本格的な普及は(少なくとも日本では)、レコーダーが発売されて4K放送が録画できるようになってからではないだろうか。

 なお、9月1日夜に日本向けサービスが始まったネットフリックスでも、最上位の視聴プラン(月額1450円・税別)で4Kのコンテンツを楽しめる。ウェブのインターフェースでは4Kのメニューが見当たらないが、カスタマーサービスによると、キーワード検索で「4K」を入力して表示される13タイトル(「デアデビル」「マルコポーロ」など)が4K対応コンテンツだとのこと。

 4Kコンテンツの提供形態も4K映像製品も多様化していくが、M&Mの予想では、2020年の4K市場における主力は依然としてテレビで、1021億ドルのうち49%を4Kテレビが占めるという。

 4k.comの記事は、「数年後には4Kが高精細映像の最有力の規格になる」との希望的観測で締めくくられている。とはいえ、3DのテレビおよびBDコンテンツがかつて業界が期待したほどには普及してこなかった前例もあるし、今後ますます増えるであろうスマートフォンでの視聴だと、画面が小さく4Kの超高画質が生かされないことからも、4K製品へのシフトはもう少し時間がかかりそうな気がする。


[執筆者]
高森郁哉
米国遊学と海外出張の経験から英日翻訳者に。ITニュースサイトでのコラム執筆を機にライター業も。主な関心対象は映画、音楽、環境、エネルギー。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

欧州、ウクライナ和平巡る協議継続 15日にベルリン

ビジネス

ECB、成長見通し引き上げの可能性 貿易摩擦に耐性

ワールド

英独仏首脳がトランプ氏と電話会談、ウクライナ和平案

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 「経済は米関税にも耐性示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲う「最強クラス」サイクロン、被害の実態とは?
  • 4
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 5
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中