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独社発表「女性版バイアグラ」の効き目

2009年11月19日(木)19時00分
バーバラ・カントロウィッツ(本誌コラムニスト)

皿洗いのほうが効果的な場合も

 新たな恋人とのセックスが刺激に満ちている交際初期は、女性の性的経過も男性とあまり変わらない。だが長期的な関係においては、女性はより多くの刺激を必要とする傾向にある。つまり、男性はパートナーを肉体的だけでなく、感情的にも満足させる必要があるのだ(皿洗いは常に効果的だ)。

 女性がセックスを敬遠する背景にはほかにも、鬱やアルコール依存症、ホルモン異常、挿入時の女性器の痛みなどさまざまな要因がありえる。ベーリンガー社によれば、臨床治験でフリバンセリンを服用した女性は、性的欲求低下障害以外に性欲を減退させる要因はかかえていないという。
 
 だが、性的欲求低下障害の診断は非常にむずかしい問題だ。診断を下すにはまず、正常な性欲とはなにかを定義しなければならない。一日に一回セックスを望むのは正常だろうか? では、一カ月に一度は? 一年に一度は?

 性問題の研究者は今のところ、女性が自身の性欲に不満を感じ、悩んでいる場合にかぎって性的欲求低下障害だと定義している。この障害をかかえる女性の割合が推定9%から26%まで幅があるのは、そのせいだ。

 もっとも、フリバンセリンが認可されれば、そんな微妙な論点は吹き飛んでしまうかもしれない。マーケティング担当者がすでに、魅力的な製品名と「不感症」に代わるキャッチーな病名を考えているのは間違いなさそうだ。

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