最新記事

ストリートファッション革命の伝道師

ニッポン大好き!

鉄ちゃんからキャラ弁、憲法9条まで
外国人の匠が語る日本文化の面白さ

2010.05.21

ニューストピックス

ストリートファッション革命の伝道師

キエルト・ドゥイツ(写真家、ジャーナリスト)

2010年5月21日(金)12時05分
佐野尚史

定点観測 路上で日本の若者たちのスナップ写真を撮り続けるドゥイツ JAPANESESTREETS.COM

 海外から日本のストリートファッションをチェックする人にとって、「ジャパニーズ・ストリーツ」は貴重な情報源だ。凝りに凝ったゴスロリからカジュアルなTシャツまで、1万5000点以上の写真を掲載。国外からのアクセスが9割を超えるため、文化的背景を含めた英語解説も添えている。

 02年に同サイトを始めたオランダ出身のキエルト・ドゥイツいわく、着物の布やジーンズなど和洋のミックスはもちろん、アニメキャラクターのイメージまで何でも取り入れてしまうところに「オリジナリティーを感じる」。彼お気に入りのブランド「タクヤエンジェル」がいい例だ。アニメのキャラクターのコスチュームを彷彿させる色やデザインに、着物の布や柄を取り入れている。

 学生やOLの着こなしでも、トップスの重ね着を楽しんだり、思いがけない色を組み合わせるところに「着物や浴衣の文化も感じる」とドゥイツは語る。「だから欧米では考えられない色や素材の組み合わせを軽々と着こなせる」

 82年に来日した当時、彼の目に映る日本の若者はちっともおしゃれではなかった。アイビースタイルなど外国のファッションに飛びついてばかりで、そんな姿はむしろ「日本人であることに恥じらいを感じているようにみえた」。

 それが変わったのは90年代半ばのこと。「欧米人に引け目を感じない若者が増えた。戦争から解放された彼らは、日本のいいところに目を向けるようになった」とドゥイツは言う。「この『静かな革命』をドキュメントしたいと思い、スナップ写真を撮りはじめた」

 原宿では売り上げの3〜5割を外国人客が担う店も出てきたとか。ドゥイツが感じた静かな革命は、新たな日本の「顔」になりつつある。

[2008年10月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中