最新記事

アメリカと中国を「離婚」の危機から救う5つの方法

ポスト胡錦濤の中国

建国60周年を迎えた13億国家
迫る「胡錦濤後」を読む

2009.09.29

ニューストピックス

アメリカと中国を「離婚」の危機から救う5つの方法

台頭する中国と金融危機の後遺症に苦しむアメリカが、両国関係と世界の安定のためにすべきこと

2009年9月29日(火)13時01分
ザカリー・カラベル

 アメリカと中国のGDP(国内総生産)の合計は昨年、世界全体のGDPの半分を占めた。米中の経済力維持には両国の緊密な協力関係が欠かせない。アメリカは率先して働き掛けるべきだ。中国との「大き過ぎて壊せない」通商関係を強化するためにできることは──。

第7艦隊の規模を削減

 西太平洋などを管轄海域とする米海軍第7艦隊は冷戦中、台湾を守り、アジアの平和維持に貢献した。現在、台湾は中国に接近している。日本が地域のリーダーの座を中国に譲る日も近い。中国と本格的に交戦するだけの戦力もない第7艦隊は今やただのお荷物。ベルリンの壁が崩壊した89年以降、ドイツ駐留米軍を削減した先例に倣い、規模を縮小するべきだ。

海賊行為には放任主義で

 米政府は長年、アメリカのソフトウエアや映画の違法コピーを取り締まるよう要請してきたが、北京の露店には今もハリウッド映画の海賊版DVDが山積みだ。だが中国の海賊版業者を訴えたり、海賊行為を理由に中国から撤退した米企業は1社もない。中国の市場は巨大。シェアの25%を海賊版に奪われても、十分な儲けを確保できる。海賊行為に戦いを挑んでも勝ち目はない。

米企業の買収を認める

 アメリカは05年以来、安全保障を口実に石油会社ユノカルやハイテク企業スリーコムの中国企業による買収を阻止してきた。中国はお返しとばかりに、コカ・コーラなどが提案した中国企業の買収計画を退けている。対中関係の見直しを迫られるアメリカは安全保障重視の姿勢を捨て、中国が欲しがる物は売るべきだ。

金利の協調体制をつくる

 米中間の相互投資額は今や莫大な金額に上る。FRB(米連邦準備理事会)と中国人民銀行はもはや、アメリカと中国の経済は別個のものであり、お互いに関係を持たないというふりを続けてはいられない。両国にとって最も望ましい金利はどの程度か。その点について、少なくとも議論を始めるべきタイミングだ。

クリーン石炭技術の開発に協力

 中国はアメリカを抜き、世界最大の温暖化ガス排出国になったとも言われる。中国はエネルギーの75%を石炭で賄っているため、クリーン石炭技術が鍵になる。だが中国政府に言わせれば、そうした技術を開発する財政的な余裕はまだない。中国の環境汚染は世界全体の問題。アメリカは進んで力を貸すべきだ。

[2009年7月 8日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、5会合連続で金利据え置き 副議長ら2人が利

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効

ワールド

トランプ氏、ブラジルに40%追加関税 合計50%に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中