最新記事

バラク・フセイン・オバマJr.の原点

オバマのアメリカ

チェンジを掲げた大統領は
激震の超大国をどこへ導くのか

2009.04.24

ニューストピックス

バラク・フセイン・オバマJr.の原点

かつてのケネディと同様、世代というカードを巧みに使う若き政治家オバマ。ハワイでの誕生から大統領選出馬までの道をたどり、その知られざる素顔を見た

2009年4月24日(金)12時55分
エレノア・クリフト、リチャード・ウルフ(ワシントン支局)、カレン・スプリンゲン(シカゴ支局)、ジョナサン・オルター、カレン・フラガーラスミス

初の黒人大統領を目指すこの46歳の上院議員に、若き日のJFKを重ね合わせる人も少なくない。ハワイ、ジャカルタ、カリフォルニア、ニューヨーク、シカゴ……。最大のアメリカンドリームの実現に向けて突き進むオバマの政治的原点とは。

 ジョン・F・ケネディが1960年の大統領選に名乗りを上げたとき、ベテラン政治家のリンドン・ジョンソンは、この若い上院議員をばかにしていた。大統領にふさわしい資質の持ち主だと信じるに足る実績を残していない、と考えたのだ(後にジョンソンはケネディの副大統領候補になる)。

 確かに、上院時代は目立った活躍がなかった。それでもケネディは当時、すでに上院議員を8年間務めており、それ以前は6年間にわたり下院議員の職にあった。

 ジョンソンが存命だったら、バラク・オバマをどんな辛辣な言葉で評しただろうか。なにしろ、オバマの上院議員歴はわずか3年。しかもこの1年間は、大統領選の選挙運動にほぼ終始してきた。

 しかし、実績や経験の不足をとやかく言うのは的外れらしい。オバマは今、民主党の大統領候補指名レースでヒラリー・クリントン上院議員と接戦を繰り広げており、初戦のアイオワ州で勝った後、ニューハンプシャー州とネバダ州は落としたものの、1月26日のサウスカロライナ州予備選では55%の票を得て圧勝した。

 アメリカの有権者は、この候補者の経験や実績以外の部分を見ているようだ。オバマの強みは、かつてのケネディがそうだったように、世代というカードを巧みに活用する能力にある。

 現在アメリカが直面する「待ったなしの状況」を強調し、忍耐を説く人々への不信を口にするオバマの言葉は、「たいまつは新しい世代に引き継がれた」というケネディの大統領就任演説の有名な一節とだぶって聞こえる。

 「(オバマは)多くの点で60年当時のケネディに似ている」と、ケネディの顧問だったセオドア・ソレンセン(79)は言う。「ケネディはカトリック教徒だし、若輩者で党執行部の一員でもないと、選挙のプロは否定的だった。しかし彼らは、大統領候補を指名するのは党幹部ではなく、全米の有権者だということを忘れていた」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米大統領、対中関税10%下げ表明 レアアース輸出継

ビジネス

日産、今期は2750億円の営業赤字を予想 売上高は

ビジネス

ユーロ圏GDP、第3四半期速報+0.2%で予想上回

ワールド

エヌビディア「ブラックウェル」、習主席と協議せず=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨の夜の急展開に涙
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理…
  • 6
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 7
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中