コラム

ついに学生向けも。23区内に続々登場するwithコロナ対応賃貸マンションの斬新さ

2022年08月30日(火)14時41分

学生向け賃貸棟を設定した「コムレジ赤羽」の学生棟エントランスロビー。筆者撮影

<リモートワーカーや学生向けに、憧れの23区内でもより広く、便利で、家賃も抑えたマンションが続々と登場している>

今、不動産会社が運営する賃貸マンションに新しい工夫が次々に登場。「顔認証のオートロック」のように分譲マンションでも珍しい設備を導入している賃貸物件が増えている。

工夫を凝らした賃貸が目立つようになったのは、昨年から。「withコロナ」の生活が模索され、都心の1人暮らしでも家で過ごす時間が増えたことや在宅ワーク・リモート授業が増えたこと、宅配物が増えたことなどが原因だ。

不動産会社が大家さんとなる賃貸マンションは23区内に立地するものが多く、その分、家賃は高め。1人暮らし向け1Kで10万円を超える家賃となりがちだ。一般的な賃貸より家賃設定が高いので、差別化を図るため、時代にマッチした工夫を積極的に採用する傾向が強い。だから、コロナ禍の今、東京23区内で斬新な賃貸物件が増えている、という側面もある。

では、「withコロナの生活にマッチした工夫」にはどんなものがあるのか。

東京23区内・賃貸マンションの新しい動きをレポートしたい。

分譲マンションにもない、最先端の工夫を採用

まず紹介したいのは、2021年2月に完成した「ウエリスアーバン中野坂上」。NTT都市開発が運営する賃貸マンションで、家で仕事や勉強をしやすく、1人暮らしの安全性を高める工夫を盛り込んでいる。

エントランスのオートロックには顔認証システムを採用し、ラウンジにはWi-Fi環境を整えたコワーキングスペースを設置。各住戸の玄関錠は次世代対応のスマートキーで、スマートフォンのBluetooth接続で開閉される。また、宅配業者や来訪者にオートロック解錠と玄関の錠を開ける暗号キーをスマホで送ることもできるなど、設備レベルの先進性は分譲マンションを凌いでいる。

1年前に完成した「ウエリスアーバン中野坂上」は、コロナ禍に対応する賃貸マンションの先駆けとなり、以後、東京23区内では顔認証のオートロックやコワーキングスペースを備え、宅配物を受け取りやすい賃貸マンションが増加してきた。

sakurai20220819160702.jpg
「ウエリスアーバン中野坂上」の建物内に設けられたコワーキングスペース。モニターは必要に応じて格納される。筆者撮影

しかし、23区内に登場する賃貸マンションの工夫はそれだけではない。次に紹介したいのは、限られた住戸面積をより広く活用する工夫......三菱地所レジデンスが建設中の賃貸マンション「パークハビオ亀戸」に導入される予定のRoomot(ルーモット)プランだ。

sakurai20220819160703.jpg
Roomot(ルーモット)プランの一例。写真提供:三菱地所レジデンス

上の写真で右手側にあるシャワースペースが「Roomot Shower(ルーモット・シャワー)」で、浴室を設けるよりも狭いスペースで設置が可能。そして、写真中央のキッチンは「Roomot MIXINK(ルーモット・ミキシンク)」と命名されており、シンク(流し)が洗面台を兼用。洗面台としても使いやすいよう、鏡が付いている。

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウニクレディトCEO、独首相にコメルツ銀買収の正当

ビジネス

米EVルーシッド、第2四半期納入台数が38%増 市

ワールド

焦点:困窮するキューバ、経済支援で中国がロシアに代

ビジネス

スターボード、トリップアドバイザー株9%超保有 株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story