コラム

価格上昇期に狙い目となる「旧価格マンション」。まだ残っている場所と、その理由は?

2022年10月25日(火)11時49分

リニア中央新幹線で注目される名古屋駅周辺でも「旧価格マンション」が。筆者撮影

<不動産投資家に学ぶ、お買い得な「型落ち」マンションの探し方>

新築マンション価格が上昇するとき、不動産投資家が狙う物件がある。それは、「旧価格」で販売されているマンションだ。

マンション価格が値上がりして、従来とは異なる価格水準になったとき、大きく値上がりした物件を「新価格マンション」と呼び、それ以前の価格水準のまま販売を続けている物件を「旧価格マンション」と呼ぶ......これは、2006年の3月、当時、週刊誌で連載記事を書いていた私がつくった言葉だった。

今から20年ほど前、東京の都心部で新築マンション3LDKが5000万円前後で購入できる時代があった。1990年代のバブルが弾けた後、マンション価格は下がり続け、普通のサラリーマンでも都心マンションを購入できるようになった時期だ。

その結果、2001年以降「都心マンションブーム」が起きたのだが、それも一時のこと。2004年からマンション価格が上昇しはじめ、06年には「ずいぶん値上がりしたものだ」と言われるようになった。

そのとき、大きく値上がりした物件を「新価格マンション」と呼んだ。そして、値上がりするマンションのなかに、値上がり前の値札を付けたマンションが残っていた。それを、「旧価格マンション」と名付けたわけだ。

旧価格マンションは、すでに建物ができあがっているものが多く、"売れ残り"と見なす人もいた。ところが、新規に売り出されるマンションの価格が大幅に高くなったので、完成済みマンションは評価が一変。「まだ、こんな価格のマンションが残っていたんだ」と、購入者が集まり、いつの間にか売り切れてしまった。

以後、マンション価格が上昇する時期、不動産事情に詳しい人は、完成済み、もしくは完成間近で「旧価格」のマンションを探すようになった。

その動きは、じつは今回のマンション価格上昇期にも起きていた。

東京都心の旧価格マンションは、すでに姿を消したが......

2015年以降、東京都心部から始まったマンション価格の上昇傾向は2017年から明らかな事実となり、2019年以降、東京以外の地方都市中心部でもマンション価格の上昇を引き起こした。

その中、東京都心部では2017年以降、完成済みの「旧価格マンション」を探す動きが生じ、すぐに売り切れ状態となった。

ところが、東京圏で姿を消した「旧価格マンション」が、一部の地方都市には残っていた。

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story