コラム

過去のインスタ作品をすべて削除して、撮り始めたプロジェクト

2017年06月01日(木)10時48分

From Chulsu Kim @chulsukim

<在日韓国人のストリートフォトグラファー、チョルス・ キムは、人気のあった自分の投稿写真を一旦すべて削除した>

インスタグラムの最大の功績の1つは、ストリートフォトグラフィーを再確立したことだ。街やコミュニティをリアルに切り取る写真ジャンルを、普通の家族写真に匹敵するほどに一般化したことである。

そうした中、この数年で多くの才能あるストリートフォトグラファーが出現し始めた。今回紹介するチョルス・ キムもそうした写真家の1人。日本で生まれ育った36歳の韓国人である。白黒写真をベースとし、街と人の絡みを、その決定的瞬間を見事に捉えている。

写真は、2010年にiPhoneを購入してからの独学だという。その後、ストリートフォトグラフィーやドキュメンタリー写真が持つリアルさ、そして、それらがはらむ人間性、臨場感、躍動感に強い衝撃を受け、写真にハマるようになった。

【参考記事】人間臭さを感じさせる、ディープ大阪の決定的瞬間

とはいえ、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSが火をつけた昨今のストリートフォトグラフィー流行は諸刃の剣だ。プラスの面としては、一瞬にして互いに刺激を与え合うことが可能になったため、冒頭で述べたように、多くの優れたストリートフォトグラファーたちが出現し始めたことだ。

だが、面白さやかっこよさばかりが先行して、中身のある、あるいは物語のある写真は少なくなってしまった。あったとしても、コピーのコピーが出回るようになってきている。これがマイナス面である。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送イラン核施設3カ所に甚大被害と米国防総省、「体

ワールド

イラン議会がホルムズ海峡封鎖承認、最高評議会の決定

ワールド

報復の選択肢検討とイラン外相、高濃縮ウランは移送と

ワールド

ロシアと中国、米のイラン攻撃を強く非難 対話呼びか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story