コラム

本音を出さない政治家の、本質をえぐるフラッシュ

2015年11月26日(木)15時55分
2016年大統領選で共和党の指名候補争いでトップを走るドナルド・トランプ


 タイトルにある"Black and White"という言葉は、白黒写真という意味だけでなく、皮肉を込めて使われている。政治家たちによってアメリカは分断され、そのくせ彼ら自身はけっして本音を表さない。その言動は、常に言い逃れが出来るように曖昧さの域を出ていないのだ。

 そんな政治家たちに強烈なフラッシュを当てることは、彼のこのプロジェクトのコンセプトにも繋がる。フラッシュが彼らの表情を鮮明に切り取るだけでなく、メタファー的にも、彼らの意図に反してその本質を浮かび上がらせることになるからだ。

 加えて、キャプション欄には、政治家たちが放った感情的な文句がしばしば添えられる。そして、そうしたものすべてを通して、写真を見た人たちがそれぞれの思いを馳せながらマーク・ピーターソンの世界に引き込まれるのである。力強く、ユーモアがあり、時代の真っ只中にある写真の世界だ。

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Mark Peterson @markpetersonpixs

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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