連載第二回は、アメリカのフィラデルフィアをベースとするベテラン写真家のエリック・メンチャー。そのスタイルは、彼の言葉を借りれば、ドキュメンタリーとファインアートの要素を絡ませたストリート・フォトグラフィーだ。
作品には、シャドウ&ライトの技法(強い光と影でコントラストを極端にした写真)がしばしば多用されるが、今流行りの、シャープ感だけを追求するストリート・フォトグラフィーではない。そうした写真はカッコよくみえてもすぐに飽きる。むしろ彼の良さはその対極にある。詩的だがどこかほっとするようなユーモアが多くの作品ににじみでている。加えて、シュールでもあるのだ。
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近年、精力的に撮り続けているグアテマラ、メキシコのシリーズは、その典型だろう。湖面の高さが6メートルも変動するという火山湖アティトラン、部族社会に暮らすマヤ族の日常、宗教儀式などをモチーフにし、スピリチュアル的な匂いと共に、我々を「おとぎ話のような世界」に誘ってくれる。心地良い安定感も伝わってくる。絶妙なカメラアイと構図がそれを生み出している。
こうしたメンチャーの作品の特性は、彼の輝かしい経歴、挫折、そして復活という人生そのものからきているのかも知れない。もともと彼は、フィラデルフィア・インクワイアーという著名な新聞社で世界的に活躍していたフォト・ジャーナリスト。同時に癌サバイバーである。その大病がもとで、22年におよぶ新聞社でのキャリアを閉じたが、写真家として生き延びる。いやそれどころか、今も成長を続けている。
現在の写真哲学を彼はこう語る。「新聞社時代の衣を意図的に脱ぎ捨てている......善悪のはっきりした写真でなく、むしろ見る者の経験や知識によって奥行きが深まるような写真をとりたい」そして、「インスタグラム、iPhone など、新しい表現形態の中でも挑戦していきたい」と。
今回ご紹介したInstagram フォトグラファー:
Eric Mencher @emencher