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岸田政権の「国家安全保障戦略」に足りないもの
岸田政権が閣議決定した国家安全保障戦略は、かなり「踏み込んだ」内容にはなっているが Issei Kato/POOL/REUTERS
<万が一、アメリカが本格的な孤立主義を選択して米軍の東アジアでの存在が縮小された場合への備えがない>
昨年、2022年末に岸田内閣が閣議決定した「国家安全保障戦略」と、同じく閣議決定した「国家防衛戦略」については、タカ派イメージのあった安倍内閣では「何故だか」できなかった「踏み込んだ内容」が決定されているとして、保守政界や財界では評判がいいようです。
確かに、ロシアの軍国化、中国の権威主義への傾斜、北朝鮮の核武装強化といった現状に対して、厳しい認識がされているのは事実です。その認識の上で、防衛費の増加、日米の連携、技術開発などの「現状の延長で可能な施策」を積み重ねるという政策が示されているわけで、現実主義の立場から理解されるというのはわかります。
ですが、この2つの「戦略」の全体は日本という国の国家戦略としては、重要な点が足りず、中長期的には不安を禁じ得ません。3点、議論したいと思います。
1点目は、あまりにも米軍に依存しているという点です。防衛費を倍増させるといっても、あくまでトランプのような孤立主義者から「安保ただ乗り批判」を受けないように負担を増額しているだけであり、有事の際の実際の指揮命令系統は米軍と一体化がされています。
行き過ぎた米軍依存
これでは独立国の防衛戦略としては十分ではありません。万が一、アメリカが本格的な孤立主義を選択して、米軍が東アジアの安全保障へのコミットを大きく減らした場合への備えがないからです。そうした場合に備えて、国家のあり方の「代替案」を持っておくことは必要です。
具体的には、まず「国のかたち」の問題があります。在日米軍という「ビンのふた」が外れた場合に、「枢軸日本の名誉回復を望む軍備肯定論」と「あらゆる軍事的なことを否定し蔑視する一国平和主義」という「国際社会から全く理解されない異質なイデオロギー」だけがビンの中から出てくるようでは困るわけです。
自由と民主主義のイデオロギー、第二次大戦後の国連中心主義との整合性を中心に、周辺国との必要な信頼関係の確保も含め、仮に日本が相当程度の「自主防衛体制」に移行した場合に、国の基本的な理念を国際社会に理解されるような現実的なアピールができるようにしておくことが必要です。同時に、自衛隊もドイツ国軍のような「国際貢献により戦前の汚名とは無縁の存在」となるような実力の涵養と、国際的なイメージ確保の戦略を持つべきと思います。
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