コラム

トランプの暴走はバイデン就任まで続くのか?

2021年01月05日(火)14時00分

大統領選の結果が覆る可能性はほぼ「ゼロ」になったが Brian Snyder-REUTERS

<ジョージア州・州務長官へのトランプの「恐喝」通話は、全米をあきれさせている>

ジョー・バイデン次期米大統領の就任式が1月20日に迫っています。新たに招集される改選後の議会による「選挙結果の承認」が6日に行われることで、選挙結果は最終的に確定します。すでに訴訟戦術もほとんどが却下されているなかで、トランプ陣営が結果を「ひっくり返す」可能性はほとんどゼロとなりました。

ところがトランプの暴走は止まりません。1月3日には、トランプ自身が、ジョージア州での選挙結果を否定して、自分が逆転するために必要な票を「見つけ出せ」と、同州の州務長官に圧力をかけていた通話の録音が暴露され、全米をあきれさせています。

トランプが圧力をかけたのは、ジョージア州の内政責任者であるブラッド・ラフェンスパーガー州務長官で、共和党の政治家です。トランプは、同長官に対して、

「(逆転に必要な)1万1780票を探し出せ」
「(そうしないと)君は大きなリスクに直面する、はっきり言って犯罪ということだ。君も君の弁護士も大変なことになる」

などと、ほとんど恐喝と言えるような発言を繰り出していました。電話は60分を超えるという異様な長さでしたが、これに対して州務長官は、

「大統領、問題はあなたが根拠にしているデータが誤りだということです」

と明確に反論していました。ちなみに、この録音テープは全体が公開されており、最初に入手して公開したのはワシントン・ポスト紙でした。

ジョージア州上院選への影響は?

このスキャンダルですが、録音は本物のようです。また、誰が公開したのかは、おそらくヤブの中ということになりそうです。問題はこの「事件」の政治的影響です。

まず直近、現地1月5日に予定されているジョージア州の上院選決戦投票への影響が考えられます。この決選投票は、11月に実施された上院議員選挙で通常選挙と補選の計2議席の選挙が両方とも僅差だったため、同州の規定により自動的に実施が決まりました。民主党が2議席を取れば、上院の議席数は50対50となり、議決の際にはハリス次期副大統領が最後の1票を入れることで民主党は上院の事実上過半数を支配できることになります。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ドイツ失業者、8月は予想外の減少 失業率横ばい

ビジネス

インタビュー:ケニアで2032年のシェア3割目標、

ワールド

NZ中銀会長が辞任、3月の総裁辞任巡り批判に直面

ワールド

レミー・コアントロー、通期利益予想引き上げ 米関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story