コラム

放言止まらないトランプが歩む自滅への道

2017年06月13日(火)11時30分

大統領選の期間中と同じような調子でしゃべったり、ツイートしたりしているトランプ Carlos Barria-REUTERS

<深刻なスキャンダルの渦中にあっても放言やツイートを止めないトランプ。法律的なアドバイスをする「リーガル・チーム」はいないのか?>

先週8日のジェームズ・コミー前FBI長官の議会上院公聴会での証言では、様々な注目点が指摘されましたが、なかでも重要な問題が2つ浮上しています。

一つは、トランプ大統領がFBI長官だったコミーに対して「自分への忠誠を要求した」という部分、もう一つはコミーが「自分の解雇はロシア疑惑が原因だと考えている」という部分です。

どちらも衝撃的ではありますが、事前に文書で公表されていたこともあり、証言そのものは「爆弾発言」というようなインパクトはありません。これに加えて、仮に大統領の言ったことがメチャクチャであったにしても、一対一の密室での会話ですから、コミーの証言だけで、大統領の言動の違法性を立証するのは難しいということになります。

ですが、問題は大統領の側のリアクションにありました。それにしても、大統領の周囲には「リーガル・チーム」というものはいるのでしょうか?

【参考記事】コミー前FBI長官が反トランプの議会証言 何がわかったのか

例えば、1972~74年にかけての「ウォーターゲート事件」では、疑惑が発覚してからのニクソン大統領は、ありとあらゆる発言をする前に顧問弁護士と緻密な打ち合わせをしており、少なくとも、その時その時の状況の中で「法的な失点につながるような失言」はほとんどなかったと言われています。

この点で言えば、現在、似たようなスキャンダルの渦中にあるトランプ大統領は、まったく違います。スキャンダルの前、あるいは大統領に就任する前と比べても、まったく変わらない姿勢で、思いつくままにペラペラと喋ったり、ツイートしたりしています。

今回の、コミー前FBI長官の議会証言に対しても同じです。大統領は、記者会見の席上で「自分が忠誠心を求めたというコミー証言はウソ」だと断言してしまっています。

何とも不用意な発言です。本人は「一対一なのだから、言った言わないの水掛け論になるしかない」と踏んで「コミー証言はウソ」と断言しているのでしょうが、結果的に、この発言の効果としては、「大統領が忠誠心を要求したという発言」が仮に事実であれば、それが「司法妨害になる」という「定義」ができてしまった感があります。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

商品市場が急落、次期FRB議長にウォーシュ氏指名で

ビジネス

みずほFG、10ー12月純利益は14%増の3299

ビジネス

みずほFG、自社株取得枠を3000億円に拡大 従来

ビジネス

世界のインフレ率は低下へ、貿易統合の深化必要=IM
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story